福智クリニック 院長 福智寿彦
私は大学を卒業すると同時に国立精神神経センター武蔵病院精神・神経センター武蔵病院に研修医として入りました。そこでは2年間のローテイトで様々な疾患治療を学び、さらに2年間レジデントを勤めました。その間、他の精神疾患とは違い、自分としては分かりにくかったてんかん治療を集中的に勉強しました。当時はちょうど大熊輝雄院長の時代で、外来部長だった大沼悌一先生、現在、精神科医長を務めておられる加藤昌明先生、今は静岡県立こころの医療センター院長をされている石田孜郎先生の教えを受けることができたのです。その後、民間病院を経て国立療養所静岡東病院(てんかんセンター、現国立療養所静岡神経医療センター)にて研修をしました。さらに岡崎市にある京ヶ峰岡田病院で3年間の勤務医を務め、1998年5月、名古屋市昭和区にクリニックを開設しました。
私の開院目的は二つあります。一つはクリニックで大規模デイケアを行いたい、もう一つはてんかん専門医として外来でてんかん治療を行いたいという事です。精神科デイケアはレジデント時代に担当医を務め、民間病院でも担当していたため、特別の思い入れがあります。精神科デイケアのニーズは三つあります。社会復帰、病気の治療、もう1つは患者さんの癒しの場としての役割です。デイケアの利点は、患者さんをそれまでの生活や環境から切り離さずに治療が提供できること、もう1点は低コストで包括的な治療ができ、地域の社会資源の活用も可能であるということです。私は都市型のクリニックに大規模デイケアを併設し、生活支援センター、援護寮、ショートステイ施設、そのほか様々な社会資源を利用することで、多くの患者さんは入院せずに病状をコントロールしていく事ができるのではないか考えています。もちろん入院施設が背後にあることは非常に重要で、そうした病院との連携も大切にしています。残念な事に、大規模デイケアのみ解説できましたが、開院当初から土地の手当もして準備を進めている生活支援センター、援護寮、ショートステイについては行政からまだゴーサインがでていません。200万都市の名古屋市にもかかわらず、生活支援センターがいまだ1ヶ所という状態が続いています。
現在、医師は私を含め3名です。1人は精神科医療を40年続けていた父親で、以前はビルで診療所を開院しておりました。もう1人は大学の後輩で、私と同じく武蔵病院で研修された先生です。スタッフは臨床心理士3名、心理士5名、PSW3名、看護師4名、薬剤師1名、事務3名です(平成15年3月現在)。
デイケアの患者さんは統合失調症の方が約70%と最も多く、その他てんかん、薬物依存症、摂食障害、人格障害など様々です。お住まいの地域別で見ると、名古屋市内の方が80%、市外の方が20%の割合となります。デイケアは月曜日から土曜日まで行っており、登録している利用者は110名で毎日の利用者は45名前後です。
当院のデイケアの特徴は、まず転換の患者さんが多数利用していることです。発作が頻繁になりコントロールが困難な時にデイケアを治療目的に利用しているからです。薬の変更と経過観察などをデイケアに通いながら行う事によって、入院せずに発作のコントロールを目指します。もう1つの特徴は利用者の年齢層が10代から70代と幅広く、一つの社会の縮図になっていることです。そこで相互が助け合って生活しています。さらに、ナイトケアも月曜日から土曜日まで行っており、十数名の利用者が見えます。
患者さんの中には近くにアパートを借りて単身生活しながらデイケアを利用する人たちも出てきていますので、できるだけ早く、生活支援センター、援護寮、ショートステイの開設ができるよう願っています。24時間対応可能な地域体制をぜひ実現したいと思っています。