年齢の違いによるマイスリー処方の工夫

福智クリニック 福智寿彦

 名古屋市内の中心部で精神科・心療内科として開業して4年目。3人の医師による外来と大規模デイケア施設を併せ持つクリニックです。
デイケアは、主に精神分裂病の患者さんが1日平均50名ほど通院しています。デイケアの治療目標はまず規則正しい生活をする事、服薬する習慣をつける事。デイケアに通えるようになったら次に他者との交流の練習をする事が課題となります。料理教室、絵画教室、音楽療法、ソフトボール、SSTなどをプログラムとして行い、これらを通して徐々に社会で生きていけるように、そして単身生活ができるように促しています。また、精神保健福祉士らによる就労支援プログラムも取り入れ、社会的引きこもりを示している患者さんらを就労に向けて引っ張っていきます。
精神分裂病の軽症化や薬物療法の進歩とともに、デイケアやナイトケアでの治療が入院治療主体であった精神医療の現場にとって変わるものと思われます。
 外来は、神経症圏、うつ病が主でその他にてんかん、人格障害、アルコール・薬物依存が多いです。外来患者さんの過半数がうつ症状を訴えてきており、患者さんにほぼ共通して認める症状として不眠があります。どのような治療法を用いるかは基礎疾患の違いやご本人の要望により当然異なってきます。
 薬物療法を選択する場合、主にはベンゾジアゼピン系薬剤を使用しています。バルビツール系は耐性、副作用の面から使用する機会は少なく、使用しても一時的に用いるのみです。ベンゾジアゼピン系薬剤の場合、超短時間型から超長時間型まで使用しています。精神分裂病の場合、長期間服用することが多く最初から超長時間型を使うようにしています。その他の場合は超短時間型から使用し徐々に長時間型に置き換えるよう努力しています。今回、藤沢製薬より発売されたマイスリーを使用してみて他の薬剤との違いの感触を若干得たので以下に示しました。

 平成13年12月中旬までに97人の患者さんに投与。不眠の内容としては、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒の順に多かった。
 マイスリー投与したにもかかわらず、50歳未満では中途覚醒回数1回以上が半数以上認められた。また中途覚醒後の再入眠困難もそのほとんどで認められた。中途覚醒時間は入眠後3から4時間が多かったが、翌日の日中の眠気は少なくふらつきも少なく、疲労感のみを訴えていた。このように翌日の副作用少ないため、長時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤との併用で中途覚醒は消失し入眠もスムーズで、快適な睡眠を確保しやすくなった。2ヶ月以上連続投与しても耐性らしきものは認められなかった。

マイスリー (10mg)1錠
ロヒプノール(1mg) 1錠
1×眠前

 一方、マイスリーを投与した50歳以上の患者さんでは、ほとんど中途覚醒を認めず、入眠がスムーズで翌朝の眠気の残りも無く、午後の眠気の出現も少ない傾向があった。5mgを初期投与量とし、多くは10mgではじめて熟眠感が得られた。50歳未満同様、翌日の日中の眠気は少なくふらつきもほとんど認められなかった。

マイスリー (10mg)1錠
1×眠前

 一過性前向性・逆行性健忘は認められなかった。また精神症状の悪化した症例もなかった。
使用した症例数が少なく未だはっきりした事は言えませんが、不眠を訴えてきた患者さんに対して第一選択薬として使用できる薬剤であるという感触を得ました。