第93回家族会

平成20年7月11日
樋渡敏 井上亜希子 中村理沙

『精神保健福祉士全国大会・学会報告』

1.「生活訓練施設を経過し自立生活する者の一特徴」

[ 目的 ]
 どのような支援内容によって自立が継続できているか

[ 方法 ]
日時:平成17年10月〜平成19年9月
対象:生活訓練施設を経過し、地域で単身アパート生活する者(以後自立生活者)とその他の者(実家で生活している者・入院者)
 @再入院率と就労率の比較
 A卒寮後、6ヶ月間の相談件数・相談内容の比較

相談内容項目=金銭・健康・精神・パニック・就労・学校・住居・コミュニケーション・外出・家庭・社会・対人・その他

[ 結果 ]
・再入院になったケース
 @幻聴や徘徊が多くなる。休息したいと本人の希望で入院となる。
 A下痢が続き体調も悪くなる。ストレスも高く退寮したいとの訴えが増え、入院となる。
・就労しているケース
 @入寮中から行っていた福祉的就労を継続。
・自立生活者はサポートの必要性が高かった
・相談内容(自立生活者)
 ⇒「精神」「就労」「対人」が大部分を占めていた

[ 考察 ]
@病状と自立生活について
 自立生活は病状が安定していることが重要
  ⇒医療機関(主治医)との連携が必要
 病状が安定している者には就労支援と生活支援を同時に行なうことが必要

A相談支援と自立生活について
 生活訓練後、実家に戻った者はサポートを必要としなくなり社会に参加しなくなった
  ⇒生活訓練後は一人暮らしを促すことが重要
 自立生活者は「外なるもの」=対外的な内容が多い

2.通過型居住施設における退居者支援(アフターケア)の報告

◇概要
 ・1988年7月 福祉ホームとして活動
 ・2006年10月グループホーム(共同生活援助)へと移行 
 ・利用期限2年以内
 ・定員10名
 ・2007年11月現在で、延べ利用者62名
 ・退居後→近隣の民間アパート単身生活など

◇グループホームの対象者
「一定期間生活の場を提供し、地域の中で自立する力を身につけていくことを支援する」
 ・期間内での退居が見込まれる方。
 ・ある程度食生活が自立している方。
 ・服薬・金銭の自己管理ができている方。
 ・日中は就労・作業所・デイケア等通う場所がある方。
 ・アルコール・薬物の依存症でない方。

◇通過型グループホーム(通過型居住施設)の特徴
 @期限付きの利用であること。期限を設けることによって、利用目的・求められる効果などが明確である。
 Aグループホーム利用後も継続した支援が求められる。
 B職員の業務が多様。
◇アフターケアの内容  ・金銭管理面(権利擁護事業担当者との連携・書類相談など)
 ・健康管理面(病状管理、相談、心理的サポート、服薬確認、医療機関との連携など)
 ・食事面(夕食会、食事相談、栄養指導など)
 ・身辺整理面(訪問・相談、ヘルパーとの連携)
 ・対人関係面(家族・近隣住民との関係相談)
 ・社会生活面(書類・各諸手続き相談・同行など)

◇課題  ・常勤2名、非常勤1名での変則勤務(8:40〜20:05)。人手不足。
 ・十分なアフターケアが継続できないのではないか。
 ・アフターケアの充実について
  →卒寮生は、相談支援・活動センターは登録しているが、徐々に途切れていく。
   卒寮生OBとして、現在寮生へのピアサポート。

3.東京・大泉学園町での 街づくりに関する報告

[ 概要 ]
 ・街づくりの中核団体は大泉学園まちづくりネット
  →民生委員や商店関係者、福祉施設職員が連携し誰もが住みやすい街を目指す
 ・活動の拠点は福祉ショップ(製品販売)
  →地域住民と福祉施設の協働運営(区から助成あり)
 ・ショップでは自主製品の販売の他、食のほっとサロン(高齢者への昼食提供)、口腔ケア講座を開催している

[ 効果 ]
 ・自主製品の販売促進
(ショップで知り合った企業から大量注文を受けた、商店会の方との運営で経営的感覚が育つ)
 ・地域のイベント情報の発信
 ・地域のたまり場(孤立しがちなお年寄りの居場所)

[ 今後の課題 ]
 ・財源の確保
 ・特定の地域住民に依存しているため運営が不安定
 ・行政や地域住民へのさらなる浸透

[ 我々が今後活かしていくこと ]
 ・行政との連携強化
  →現状:生活支援センターを中心に中区・昭和区から何かをやろうと
   声がかかっているが実現していない。
 ・講座の開設
  →現状:活動センターでパソコン教室を行なっているが参加者が不足。
   活動センター自体の利用者も減少。プログラムの見直し必要か。

4.精神保健福祉医療施策についての報告

◇基本的政策「入院医療中心から地域生活中心へ」 ※今後10年間で進める
 @国民の理解の深化
 A精神医療の改革→入院患者の現状
 B地域生活支援の強化→自立支援法、20年度予算、診療報酬改訂

◇精神医療の改革 〜入院患者の現状〜
 ・疾病別内訳は統合失調症が減り、認知症が増加
   統合失調症:214900人(H8)→196500人(H17)
   認知症:23800人(H8)→33500人(H17)
 ・平均在院日数(320.3日(H18) )は減少
   平成元年から平成18年までに150日以上減少
 ・年齢階級別統合失調症の推計入院患者は高齢化
   推計平均年齢は50歳(H5)→56歳(H17)へ

◇地域生活支援の強化 〜自立支援法〜
 ・障害者施策を3障害一元化
 ・利用者本位のサービス体系に再編
 ・就労支援の抜本的強化
 ・支給決定の透明化、明確化
 ・安定的な財源の確保
 ⇒ 自立と共生の社会を実現 障害者が地域で暮らせる社会に

◇地域生活支援の強化 〜平成20年度予算〜
 ・精神障害者の地域移行を支援するための施策の推進
  @精神障害者地域移行支援特別対策事業(新規)
  A認知症疾患医療センター運営事業(新規)
  B精神科救急医療体制整備事業

◇地域生活支援の強化 〜H20年4月診療報酬改訂〜
 ・退院後の対応
  @精神科訪問看護・指導料の算定要件緩和
  A精神科継続外来支援・指導料の創設
  B通院精神療法の訪問診療時の算定要件緩和

5.退院促進

 

  次回、平成20年8月8日金曜日 午後6時から