第71回家族会

平成18年9月8日
参加者36人 福智 寿彦

『統合失調症の治療 −薬物療法B−』

1;統合失調症とは

2;統合失調症の疫学

3;統合失調症でみられる症状

4;統合失調症の治療

5;自立を支援する薬物治療

6;主に使用されている統合失調症治療薬一覧

7;従来型抗精神病薬と新規(非定型)抗精神病薬の比較

8;リスペリドンはハロペリドールよりも再発率が低い

9;抗精神病薬の副作用

10;糖尿病発症に対する抗精神病薬の作用 大規模データベースによる所見

11;抗精神病薬による糖尿病罹患率

12;統合失調症患者における体重増加データ 抗精神病薬による体重変化

13;副作用に対する処置

14;抗精神病薬の主な副作用(全身の部位別)

15;錐体外路症状(EPS)

16;自律神経症状

17;メタボリックシンドローム  内分泌系・代謝障害系副作用

18;高プロラクチン血症

19;錐体外路症状〜薬剤性パーキンソニズム〜

20;錐体外路症状〜アカシジア〜

21;錐体外路症状〜ジストニア〜

22;錐体外路症状〜ジスキネジア〜

23;悪 性 症 候 群(NMS)

24;再発を予防するために

次回平成18年10月13日午後6時から
 精神障害者自立支援法について PSW伊東


第72回家族会

『自立支援法について』

〔自立支援法のポイント〕

@障害の種別にかかわらず、障害のある人々が必要とするサービスを利用できるよう、利用の仕組みを一元化し、施設・事業を再編

A市町村が責任をもって一元的にサービスを提供

B利用する人がサービスの利用量と所得に応じた負担を行うとともに、国と地方自治体の費用負担をルール化して財源を確保し、必要なサービスを計画的に充実

C就労支援を抜本的に強化

D支給決定の仕組みを透明化、明確化

 

〔自立支援医療〕

精神通院医療・更正医療・育成医療

自立支援医療制度

・支給認定の手続きを共通化
・利用者負担の仕組みを共通化
・指定医療機関制度の導入

 

〔自立支援医療自己負担額〕

生活保護世帯0円
市町村民税非課税(本人収入が80万円以下)2,500円
市町村民税非課税(本人収入が80万円超)5,000円
市町村民税2万円以上20万円未満1割負担
  「重度かつ継続」市町村民税2万円未満5,000円
  「重度かつ継続」市町村民税10,000円
市町村民税20万円以上1割負担
  「重度かつ継続」20,000円

 

◆福祉サービスに係る自立支援給付等の体系

平成18年9月までのサービス
居宅サービスホームヘルプ
ショートステイ
グループホーム
施設サービス授産施設
福祉工場
福祉ホーム
生活訓練施設

平成18年10月からのサービス
介護給付居宅介護(ホームヘルプ)
短期入所(ショートステイ)
共同生活介護(ケアホーム)
訓練等給付自立訓練(生活訓練)
就労移行訓練
就労継続支援(A型・B型)
共同生活援助(グループホーム)
地域生活支援事業移動支援
地域活動支援センター
福祉ホーム

 

〔利用者負担の仕組み〕〜 1割の定率負担と所得に応じた月額上限の設定 〜

◆月ごとの利用者負担の上限
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得1市町村民税非課税でサービス利用本人の収入が年80万円以下 15,000円
低所得2市町村民税非課税
例)障害基礎年以外の収入が概ね125万円以下の単身世帯
24,600円
一般市町村民税課税37,200円

◆減免措置
例)個別減免:預貯金が350万円以下であれば、定率負担減免が行われる。

 

〔福祉サービス利用の手続き〕 〜 福祉サービス受給者証の申請 〜

◆介護給付を希望する場合

相談・申し込み(相談支援事業者)(市町村)

利用申請

障害程度区分の一時判定(市町村)

二次判定(審査会)←医師の意見書

障害程度区分の認定(市町村)

勘案事項調査
地域生活 就労 日中活動 介護者 居住 など(市町村)

サービスの利用意向の聴取(市町村)

支給決定(市町村)
◆訓練等給付を希望する場合

相談・申し込み(相談支援事業者)(市町村)

利用申請

障害程度区分の一時判定(市町村)

勘案事項調査
地域生活 就労 日中活動 介護者 居住 など(市町村)

サービスの利用意向の聴取(市町村)

暫定支給決定(市町村)

訓練・就労評価項目⇒個別支援計画

支給決定(市町村)

 

〔福智会の変更(平成18年10月から)〕

◆福智会の概要

・福智クリニック
   外来診療
   デイケア・ナイトケア
・無心寮
   生活訓練施設ショートステイ
・メンタルヘルスサポートセンター
   地域生活支援センター相談支援事業
・澄心荘
   グループホーム
      +
・NPO法人福心 カフェギャラリー寸心    小規模作業所

◆メンタルヘルスサポートセンターの変更

平成18年9月まで
 精神障害者地域生活支援センター

平成18年10月から
 精神障害者地域生活支援センター相談支援事業

    ↓            ↓         .

メンタルヘルスサポートセンター

 ・気軽に立ち寄ることのできる場所
 ・24時間体制での電話対応
 ・月1,000円の登録

中・昭和障害者地域生活支援センター

 ・福祉サービスの利用等の相談支援
 ・社会資源活用のための支援
 ・社会性活力を高めるための支援
 ・ピアカウンセリングによる支援
 ・権利擁護のために必要な援助
 ・専門機関の紹介
 ・地域自立支援協議会の運営等
 ・区分認定等の訪問調査

 

〔相談支援事業(名古屋市委託)〕

・各区の障害者地域生活支援センターがそれぞれの得意分野をもちつつ3障害すべての相談に応じられる体制
・各区の障害者地域生活支援センターと地域生活支援センター(精神)の連携を確保
・地域生活支援センター(精神)を圏域ごとに1箇所

 

 

〔名古屋市内各圏域の生活支援センター〕

圏域実施主体・施設所在地・連絡先
千種・名東NPO法人む〜ぶ・かみさと
ひまわり
名東区亀の井3−85
702-2329
東・守山医療法人 八誠会
やすらぎ
守山区町北11-59
791-2170
北・西北医療生活協同組合
こころとくらしのサポートセンター
なないろ
北区上飯田南町2-14-1
910-8077
中村・中川社会福祉法人 親愛の里
そよかぜ
中村区中村町9-66
419-3166
中・昭和医療法人 福智会
メンタルヘルスサポートセンター
昭和区御器所通2-25-2
741-8900
瑞穂・天白医療法人 資生会天白区大坪2-109
832-2169
熱田・港社会福祉法人 親愛の里
ハートランド森
熱田区玉の井町9-30
681-7052
緑・南NPO法人 TOBEC
みみぃ
南区西桜町48-7
823-4718


第73回家族会

『抗精神病薬の副作用』

〔抗精神病薬の副作用〕
 ・口が渇く,尿が出にくい,便秘
 ・手足,顎,舌などがこわばって動かせない,動作がぎこちなくなる
 ・手または体の規則的なふるえ
 ・からだが落ち着かず,じっと座っていられない。そわそわする
 ・性欲の減退,無月経
 ・体重の増加
 ・高血糖

〔抗精神病薬の副作用(全身の部位別)〕

〔錐体外路症状(EPS)〕
 ・薬剤性パーキンソニズム
 ・ジストニア
 ・アカシジア
 ・ジスキネジア

〔自律神経症状〕
 ・抗コリン性副作用
 ・抗ノルアドレナリン性副作用

〔メタボリックシンドローム〕
 ・内分泌系・代謝障害系副作用

〔高プロラクチン血症〕

〔悪性症候群(NMS)〕

〔抗精神病薬の副作用〕

〔副作用に対する処置〕

〔病気と上手につきあうためには〕
 ・家族ができること
 ・再発を予防するために

〔統合失調症の遺伝的危険性〕


第74回家族会

『心理社会的リハビリテーション』

平成18年12月8日
参加者46人 福智寿彦

 
[心理社会的リハビリテーションとは?]

 薬が症状軽減した後、リハビリテーションを受ける事により、より意義ある人生へ一歩踏み出せる

 

1;孤立

2;現在の生活能力と改善可能な生活能力

3;最終的な結果は次の要因に影響されている
 ・病気の重さ・薬物治療の効果・本人の勇気・家族の反応・地域の反応
 ・治療システムの反応

4;治療戦略
 ・薬で症状コントロールする
 ・人間関係を作る
 ・症状を管理する技能を教える
 ・失われた生活能力を補う技能を教える
 ・個人に固有な能力を最大限に引き出す

5;統合失調症の治療

6;心理社会的リハビリテーション(1)
 ・一人一人のメンバーが自分のゴールを得る事ができるように工夫されている
 ・メンバーを暖かく迎え、いろいろな活動に参加しやすい環境を作っている
 ・種々のサービスが受けられるようになっている
 ・仲間同士が助け合う事が奨励されている
 ・地域に出て実際にいろいろな役に立つ経験が出来るプログラムが仕込まれている

7;心理社会的リハビリテーション(2)
 ・現在の生活能力に焦点をおく
 ・いくつもの小さな段階をつけて一度に一会談ずつ進む
 ・希望、勇気、自己評価を向上させる
 ・病状悪化があっても対応でき、その間も援助を続ける
 ・一生を通してサービスを提供する

8;雇用の可能性

9;生活技能(SST)は習得できるし保持できる

10;生活技能(SST)は再発率を下げる

11;目の見えない人への表示
 ・治療者や家族がよく起こす間違い
 ・統合失調症の人に一番適した学習法のトレーニング法を紹介します。

12;言語による習得、行為による習得、習得までの経過

13;複雑な作業の習得 → 作業意欲の喪失

14;間違いのない習得法
 単純化、初めてやっても9割出来るものからはじめる、連続して10割成功することが10回出来るようにする、少し複雑にして9割出来る程度のものに新たに挑戦、10割できるもの10回やれるように。

15:意欲を高める → 成功への意欲

16;ケアマネージャーの役割
 ゴールを設定、勇気付ける、生活環境整える、金の確保、治療をモニターする、信頼し安定した支え

17;質の高いケア

18;リハビリテーションプログラムとは
 特殊な技能を教える、仲間同士で学習と練習の機会がある、現実社会で応用する機会がある、勇気付けてくれる指導者がいる、家族も参加している

   次回、平成19年1月12日午後6時から
    『再発予防のための家族の役割』


第75回家族会

『再発予防のための家族の役割 その1』

平成19年1月12日
参加者45人 福智寿彦

 統合失調症は身体(脳)の機能的な異常が原因であり、民族にかかわらず、家族の貧富にかかわらず人口の1%がこの病気になっています。この病気を患っている人には認知障害があり、ストレスに対して異常に敏感に影響されるため、生活上の知恵が必要になります。適切な家族環境、不適切な家族環境があります。どのような家族環境がよいのでしょうか? ここで誤解してはならないのは、不適切な家族環境が発病の原因ではないということです。

1)良い家族環境とは
 (1)毎日の生活が決まっており、あまり変化がない
 (2)一人一人の家族の役割が明確なこと
 (3)刺激が少ないこと
 (4)ゆったりしており、急に何かが起きることがない
 (5)家族同士がお互いに我慢強く、お互いの気持ちを強く刺激することが少ない
 (6)現実的なゴールに向かって一歩一歩努力している

 これらの治療に適した家族環境がわかるまでには長い年月を費やしました。過去には、精神医学の専門家達が、地域医療や診療所で職員をなるべく増やし、精神療法を増やし、色々な活動を増やし回復の期待感を上げれば、治療は促進すると考えていました。確かにこういったやり方は、統合失調症ではない人には効果がありましたが、統合失調症の人はかえって症状が悪くなりました。早く治るように期待されることは実際には刺激が強すぎて、弱体化している能力をかえって圧倒してしまっていたのです。
 一方、あまり刺激がないと、閉じこもり萎えてしまいます。普通の家族環境より少し低めの刺激が治療的であるということです。

2)家族は病気の再発率に影響を与える
 実は、普通の家庭で十分に刺激があり、皆が冗談を言ってふざけあっている健康な家庭生活は、患者さんには不向き。

3)家族環境は多くの要因に左右される
 [ 悪循環を断ち切るためには ]
  (1)家族が患者さん特有の要求を理解し
  (2)効果ある治療法が得られ
  (3)精神保健の専門家や社会一般が統合失調症を患っている人やその家族を援助すること

4)家族は患者さんのニーズにあった生活技能を身につける

5)治療に役立つ家族
 『励ますこと、受け入れること、普通の生活をすること』
  これは心理社会的リハビリテーションでの学習条件(低い刺激、細分化、現実的な見通し、頻繁に褒めること)と似ています。

6)家族の問題を解決
 8歳の子が家出するのと、35歳の統合失調症の娘が家出しようとするのでは家族の戸惑いが違います。つまり、家族は誰にも教えてもらわなかったことに対応しなければなりません。しかし、今回新たに対処法を学習する時の危険は、家族が過去の対応に後悔することです。いつの場合でも、その時点で正しいと思ったことを一生懸命するしかないということを認識していただきたいのです。今まで患者さんのために一番良いと思ったことを愛をもって一生懸命やってきたと自分を認め自分をねぎらって下さい。そしてこれからは今までより良い方法で対処できると信じてください。

7)本人への対応
 統合失調症を患っている人をそのままありのままに受け入れる態度を示すために、個人の価値観や考えが当然ある一人の大人として対応して下さい。他者とのいざこざがあってもあまりかばったりせず、本人に任せるようにして下さい。恥ずかしがって他人に会わせないようにするのではなく、普通に社交の場にも出られる機会を与えましょう。兄弟や友達などの業績と本人を比較しないこと。過去になった発病前の人生のゴールや夢を本人の前で話さないこと。結婚や就労を希望するのなら勇気づけましょう。

8)病気を憎んで人を憎まず
 どの行動が症状か、自分の行動をコントロールすることができないこともありますが、できることもしばしばあります。自分でコントロールができることは自分で責任を持たせる。何が症状か、コントロールできるものかは、本を読んだり、家族会に出たりして勉強したり、本人や主治医に聞いてみる事が大切です。

9)現実的な希望
 [ 短期目標と長期目標 ]
 課題の細分化をし、少しの努力で習得し完了できるように生活内で課題を作ってあげましょう。長期目標が、単身生活と就労であっても、まず朝起きられるようにするとか、デイケアで他のメンバーと挨拶ができるようにすることなどから始めて下さい。
 突然再発があったり、引きこもり症状が遅々として改善しなかったりした場合も、常に家族は希望的態度を示すことが大切です。スライドの回復過程の何処にいても、常に現実的な希望を持てる小さな一歩をとることができます。現実的な希望を持てる状態とは常に本人の置かれた機能のレベル(過去のレベルにかかわらず)をそのまま受け入れる態度です。

10)社会での役割
 統合失調症を患うと他の人より少し違ったものの見方をしたり行動をとったりします。この違った行動や見方は疎外感の原因になります。自分が患者としての役割を受け入れ、誰かが援助に来てくれ、声をかけてもらえるまで受身で待つこともできますが、患者としての受身の役割を保っている間は意義ある人生を作り出すことはできません。

 統合失調症を患っている人が社会一般での意義ある役割を得させるためには・・・

 
 @当人が既に保持している技能や長所を検討する
 A家族が毎日しなければならない家事や生活での事項(部屋の掃除、洗濯、ごみ捨て)、時々しなければならない事(大掃除、障子の張替え、畳の蒸し干し)のリストを作る
 B本人のできることと毎日の生活でしなければならない事項をマッチさせる
 Cそのうち一つの事項のやりかたを教える
 Dそれができるように十分援助し、できた時は褒める
 E本人に家族の一員としての役割をはたす機会を作る

 

ご家族で、考えてみて下さい
 『親亡き後、住居は? 生活費は? 孤独に耐えられるか? 頼れる人は誰?』

  そのうえで・・・
 ⇒ 「ご本人の短期目標、長期目標を作ろう」

   次回、平成19年2月9日午後6時から
    『再発予防のための家族の役割 その2』


第76回家族会

『再発予防のための家族の役割 その2』

平成19年2月9日
参加者55人 福智寿彦

12)愛情のある適切な距離
 子供を育てる上での愛の距離はガイドラインがありますが30歳になる統合失調症を患っている息子へのガイドラインはありません。家族は保護することと自立心を育てることのバランスを考えながら、治療の援助をしていかなければなりません。
 干渉しすぎたり、過保護にすることは再発の原因になります。“干渉しすぎ”とは行動のモニターをすること。本人にとってそれがストレスになります。

13)思春期の人に対する親の接し方
 統合失調症を患っている人は大人なのでやはり大人として扱うべきです。ですが、思春期の子供に似た性質を持っています。発病時期が思春期に多いので人間的成長が抑えられることがあります。統合失調症による障害は半永久的に思春期状態を維持することがあります(自分で所得を得ることができず、他者に生活を頼るなど)。思春期のような反抗をする人には思春期の子供の育て方と同じようにすればよいのです。

  @問われないアドバイスは与えない
  Aどちらを選ぶかの選択権を与える
  B仲間からのポジティブな影響を利用する

 反抗期の人にとって愛の距離は普通の状態より遠いのかもしれません。

14)期待感の結果
 “今ここで援助すれば、本人はすることが増えるか少なくなるのか?”
   →依存性を育てないように気をつける

15)適切な刺激のレベル
 静かな家庭の空気は療養にとって非常に大切。
  『同じ場所、少人数、短時間』

16)単純な仕事にさえ圧倒される
 意欲の減退に打ち克つ。そのために頻繁に褒めてあげる、褒美をあげる(尊敬、物品)そして、勇気づける。

17)批判する時は具体的に
 本人は批判に対して過敏になっており、自分の間違いを誤魔化してしまいます。また、家族は本人が爆発するとか気が滅入るのを恐れてしまします。
 適切な批判の仕方とは、問題の行動が如何に本人の具体的なゴールの障害になっているかを静かに説明することです。

18)統合失調症に患っている人が家族に求めていること

19)家族の負担
 ・家族にも援助、精神的な支援が必要
 ・援助としては
   @適切で効果的な治療 A十分な所得と住居
   B患者さんが安心できる環境 C家族への教育活動

 ・精神的支援としては
   @治療者からの協力的な態度 A仲間のグループ

20)統合失調症を患っている人を援助するために家族が必要としていること
 家族のためのSST 生活技能訓練

21)家族ができること

 

まとめ

@統合失調症は脳自体に障害がある病気で、家族や本人が原因を作った病気ではない
A薬物療法と心理社会的リハビリテーションを受けることにより回復が可能である
B家族は病気の原因を作ったのではないが、治療がどのように進むかには大きな影響を与える
C家族には教育と生活技能の援助が必要
 

今後必要とされること

@現在の治療法の効果判定
Aより良い治療法の開発・研究
B医療にかかわる専門家は、本人や家族に適切なサービスの提供に努力する
C精神障害者の福祉を考えた法律、国の政策の改善
D家族会の設立と援助グループの提供
E地域での社会資源の開発
F家族も治療に協力する
 

 

ご家族で、考えてみて下さい
 『親亡き後、住居は? 生活費は? 孤独に耐えられるか? 頼れる人は誰?』

  そのうえで・・・
 ⇒ 「ご本人の短期目標、長期目標を作ろう」

   次回、3月9日金曜日 午後6時から7時30分
    「弁護士による後見制度についての説明」 佐藤浩史弁護士
   質問のある方は参加申し込みはがきへ


第77回家族会

『やさしい 相続・遺言・成年後見』

平成19年3月9日
弁護士 佐藤浩史

1.相続

(1)相続とは・・・人の死亡に基づく財産の承継
  相続財産には資産だけでなく、負債も含まれる。
(2)相続人・・・故人の財産を相続する人
  相続人の範囲、順位は民法に規定。相続放棄、相続人廃除の制度がある。
(3)相続分・・・財産を承継する割合
  民法に規定。特別受益、寄与分制度がある。
(4)遺産分割・・・相続分の現実化
  各相続人の間で具体的に財産分けをすることを遺産分割という。

2.遺言

(1)臨終の言葉・・・法律的に意味のある言葉が「遺言」
(2)遺言とは

@法律的に効力のある事項が具体的に法律で定められている
 →相続、財産処分、家族関係に関する事柄
A遺言の方式は厳格に定められている
 →自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
B死後に効力を生ずる
C遺言執行者を定めることができる

(3)遺言者の自己決定
@遺言自由の原則
A遺言をすることの意義・・・親族間の紛争予防、その他多様な遺思の実現

(4)遺留分
(5)遺言書作成の費用

3.成年後見

(1)制度がめざすもの・・・心身に障害がある人にたいする援助
  自己決定権の尊重
  必要性、補充制の原則
(2)従来の制度の問題点
(3)現行の成年後見の概要

@後見・保佐・補助
A任意後見制度の新設
 →任意後見契約(公正証書)による。任意後見監督人制度
B戸籍記載の廃止と成年後見登記制度の新設

 

 

次回、4月13日金曜日 午後6時から7時30分


第78回家族会

『「したい」を「できる」に』

−リカバリーを支援するデイケア活動−

作業療法士 菅沼映里

・デイケアの定義

・デイケアの機能

・回復段階に応じた治療、リハビリテーション

・よいデイケアの条件は?

・すずかけの郷の特徴は?

・プログラムの目的と内容

・SSTとは

・病気をコントロールしよう(心理教育)

・食事療法

・プログラム以外のよさ

・リカバリーの概念「生きてきてよかった!」

・ICF(国際生活機能分類) WHO

・これから

  付録:おすすめの本


第79回家族会

『うつ病について』

平成19年5月11日
福智寿彦

1:うつ病のサイン

2:うつ病の症状 (朝、昼、夜)

3:うつ病の心の変化

4:心と体の関係

5:うつ病の原因 セロトニン、ノルアドレナリン

6:治療のポイント 休養と薬の服用

7:抗うつ薬の種類

8:SSRIのうつ病に対する作用

9:抗うつ薬を服用する時の注意点

10:治療の順序

11:治療を受ける時のポイント

12:まとめ

13:うつ病の自己チェック

14:認知療法

15:うつ病の有病率

16:自殺とうつ病

17:再発、再燃を防ぐための長期的な治療計画

18:家族のバックアップ

 

 次回
  平成19年6月8日 6時から 「アメリカ西海岸 ビレッジでの研修体験」


第80回家族会

『ヴィレッジ研修報告』

平成19年6月15日

1.ヴィレッジの歴史と使命

息子が入院先から“もう診れない”と言われ困った

家族はロスの家族会に相談
家族会は副知事に“どうしてこういうことが起こってしまうか”調査を依頼

副知事『調査はしないが、精神障害者の治療でいい方法があれば教えてほしい』

いくつかの提案の中から厳しい審査の結果、ビレッジモデルが選ばれる
⇒ リカバリを通してエンパワメントをもってもらうシステム

◆1980年代におけるカリフォルニア州精神保健サ−ビス

 ・20年来の脱施設化がすすめられている。
 ・メンバーを地域社会に返していくのに資金が十分ではない。
 ・経済不景気により、地域社会を基準とした精神保健プログラム基金が低下。
 ・サイコソーシャルリハビリテーションがまだ合理的な治療として受け入れられていない。
 ・メンバーはホームレスに落ち込む
 ・家族はメンバーのために他の選択を模索している。

◆ヴィレッジISAとは?

 カリフォルニア州 ロングビーチ市(人口45万人)において、
 ロサンゼルス郡精神保健協会が運営する精神障害者の社会復帰プログラム。

◆何がユニークなのか?

 ・基本理念:『“精神障害”はその人の人格の一部にしか過ぎない』
 ・普通の地域社会で普通の生活
 ・徹底した自己決定
 ・社会参加⇒誰でも地域社会で張りのある人生を楽しむことが出来る
 ・失敗は得がたい経験、成長の過程、との認識
 ・生活技能訓練(SST)は実生活で
 ・結果の評価:目的の達成度、経済性とQOL
 ・スタッフとメンバーの関係は“大人と大人”の関係

◆ヴィレッジの使命は

 ・精神障害を持った大人の能力を引き出し社会で生活し、社会活動に参加し、
  社交的に交わり、学び、働く事に成功するように支援し、訓練する。
 ・それらの人々が目的を達成するために必要な制度上の改革を支持、推進することにある。

◆ヴィレッジの方針
 ・メンバーのゴールによってサービス内容が決まる。
 ・障害による欠陥でなく、才能が中心。
 ・リスクを犯すことを恐れない。
 ・社会に融合。
 ・「今、ここで」が焦点。
 ・大人同士の関係が焦点。
 ・一つのことに責任を持たせる。
 ・常に希望があることをする。

2.サイコソーシャルリハビリテーション

◆リカバリーカルチャーの構成要素

 ・歓迎 Welcoming
 ・救済 Charity
 ・治療 Treatment
 ・回復 Rehabilitation
 ・擁護・支援 Advocacy
 ・卒業 Graduation

◆リカバリー8のステップ

 ・精神障害は自分の一部であることを知る
 ・日々の諸問題を処理することが人生であることを受け入れる
 ・援助、支援の組織を持つこと
 ・その都度、気持ちを処理する
 ・健康的な態度と習慣を維持する
 ・成長が必要であることを意識する
 ・自分のために生きるのではなく地域社会にも貢献する
 ・自分の技能、能力を認め現実の生活に自信を持つこと

◆第1の根 心理社会的リハビリテーション

 ・サービスは、可能な限り「ノ−マライズ」された環境で提供される。
 ・過去からの問題により、「今、ここで」を強調する。
 ・仕事がリハビリテーション過程の中心に置かれる。
 ・医学モデルよりも社会モデルが強調される。
 ・すべての人々は、これから発達可能な未開拓の能力を持っている。
 ・クライエントの病理よりは強さを強調する。
 ・人々は、自己決定の権利と責任を有する。
 ・ケアはくつろいだ環境の中で提供される
  (職業的、権威主義的な障壁は無用。

◆第2の根 マネージド・ケア

 ・登録者数に応じた補助金、支払い機関との自己責任経営契約。
 ・容易なアクセス‐1日24時間体制、年中無休。
 ・(入院回数と入院日数を減らして)病床利用を減らすこと、より低額な治療方法の利用を増やすことを強調する。
 ・サービス供給者が、サービスを評価し、ケアの質を改善させるためのフィードバック機構を創設したこと。

◆第3の根 薬物治療(精神医学的ケア)

 ・心の病は医学的疾患であり、精神科医による薬物治療が必要となる。
 ・薬物治療は、心の病の症状を治療する有効な方法であることがしばしば経験される。
 ・心の病を有する人は、時折入院が必要になる可能性がある。
 ・心の病を有する人は、通常複数の健康上の問題を抱えており、さまざまな専門的職種からの検査や加療により恩恵を受ける。

◆第4の根 ケースマネージメント (アサーティブ・コミュニティ・トリートメント)

 ・コミュニティに基礎を置くチームがすべてのサービス領域を担当する。
 ・時間や状況によらないケア提供の継続性。
 ・サービスの75%がプログラム担当局以外の機関によってなされる。
 ・訪問、関係性、サービスの個別化が強調される。
 ・多職種からなるチームのおのおのに精神科医が配置されている。
 ・ケースマネージャーは、ケース負担は少ないが、個々のクライエントの治療計画、個別的な支持的治療や危機状況時のニーズに対して第一義的責任を負う。

◆第5の根 ケアの連続性

 ・心の病の程度、経過、持続期間はさまざまである。
 ・心の病はしばしば生涯にわたる疾患としても、ライフサイクルの中でのニードや人生のテーマには、大きな個人差がある。
 ・心の病を持つすべての人のニーズに対応できる出来合いのサービスパッケージは存在しない。
 ・サービスは、本人への制限が強いものから弱いもの、あるいは強度の強いものから弱いものまで、一続きの連続性の中で組織される。

◆第6の根 エンパワーメント

 ・自己のエンパワーメントは、自己決定の鍵を握る。
 ・サービス利用者は、自分たち自身に関する専門家であり、自分が受けるサービスを評価できる。
 ・サービス利用者のモットー:「我々のことは我々がやる」
 ・サービス利用者は、治療に意義を唱えたり、治療を拒否する権利を有する。
 ・セルフヘルプクラブと仲間のネットワークはサービス利用者を強力に援助する。

◆人間の本質に関する基本的仮説

 ・我々は、生まれつき、どこかに帰属し、何かを生み出すこと(愛と仕事)を必要としている。
 ・我々自身の経験が、我々の最良の導き手である:他人の経験より、自分の経験
 ・人間は基本的に回復する:我々は失敗から学び、成長する
 ・ストレスは避けられない。従って、うまい付き合い方を学ぶ必要がある。
 ・人々は、自らに期待されていることを成し遂げてる:期待は下げるより上げるべき
 ・人々は、自分が対等で活動的なパートナーとして扱われる時、より進んで援助を受け入れる。
 ・能力障害の有無は、これらの仮説に基本的部分に何ら影響を与えない。

◆ヴィレッジモデルを導く信念

 ・人は皆、社会に参加する責任を有する。
 ・精神疾患に罹患した人は、回復し、健康で生産的な人生を送ることができる。
 ・サービス利用者とその家族は、システムのすべての領域に於いて唯一かつ本質的なパートナーである。
 ・さまざまな選択は、ごく自然に成長と学習の機会となる。
 ・精神保健サービス利用者と一般人の間では、相違点よりも共通点の方が多い。
 ・サービス利用者は、システムの中で積極的な役割を担わなくてはならない:“我々のことは我々が関わる”。
 ・セルフヘルプ、相互支援と雇用は、自尊心を高める強力な方法である。
 ・希望

◆重複する価値

 ・支払い能力に関係なく、あらゆるサービスを利用できること。
 ・身体疾患と対等とすること。
 ・母国語や文化に応じたサービス。
 ・サービス利用者と彼らが表明するニードを最優先する。
 ・すべてのサービスやアプローチは、その人の全体のニードやゴールに基づき、個別化さらなければならない。
 ・居住、学習、就労などは、地域生活からの分離ではなく、そこへの統合によって成し遂げなければならない。
 ・スタッフとサービス利用者の関係は、相互の尊敬と平等性の基礎の上に築かれなければならない。:「職業的な態度をできるだけ少なくする」
 ・「困難」や「コンプライアンス不良」という理由で、精神保健のプログラムからサービス利用者を除いてはならない。

◆サービス文化:協力関係

 ・メンバー相互
 ・スタッフがメンバーに
 ・精神科医がメンバーに
 ・スタッフ相互
 ・ヴィレッジが家族に
 ・ヴィレッジがロングビーチの地域社会に

◆環境:高リスク/高サポート

 ・危険を冒すのは大変危険である:無難にやる方が易しい。
 ・危険は高サポートの環境の中で受け入れることができる。
 ・失敗の危険を冒すことは、成長や学習のために必要である。
 ・高サポートは、一貫していて、随意に利用、提供されるべきである。
 ・高サポートでメンバーが失敗から回復するのをたすける。
 ・高サポートの環境では、自然の成り行きが働く。
 ・就労援助がリスク/サポートの好例である。

◆アプローチ:『メニュー主導』『選択肢を提供する』

 ・いつでもできるあらゆる選択
   ⇒ 段階構造や必要条件によらない。
 ・選択メニューは構造化の程度や難易度に関してピンからキリにまでわたる。
 ・スタッフは柔軟に仕事する。
   ⇒ 「選択は幅広く」「代償をいとわず」
 ・自由選択メニューは、すべてのQOL領域に適応される。
   ⇒ 例えば雇用、住居、社交生活、教育、物質乱用、金銭管理など。