第81回家族会

平成19年7月13日
参加者48人 福智 寿彦

『精神障害者医療について』

1;精神障害者医療・福祉の流れ

2;精神科医医療の今後

3;精神科医療の課題

4;入院患者数の推移

5;統合失調症の疫学

6;精神障害者退院促進事業

7;入院期間の比較

8;心理社会的リハビリテーションとは

9;退院後の生活

10;愛知県の現状

 次回、平成19年8月10日午後6時から
  「てんかんについて」

 


第82回家族会

平成19年8月10日
参加者19人 福智 寿彦

『てんかんについて』

◆てんかんとは?
 てんかんは、いろいろな原因により起きる慢性の脳の病気であり、大脳の神経細胞の過剰な電気的活動に由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とする病気です。

◆てんかんの原因は何か?
 1)原因不明のもの:原発性または特発性てんかんと呼ぶ
 2)脳の障害によるもの:続発性または症候性てんかんと呼ぶ

 てんかんの原因による分類と脳の異常部位による分類をまとめる

◆てんかんの人はどれ位いるのか?
 ・日本では約0.6%程度
 ・日本の人口1億2000万人とすれば約72万人のてんかん患者さん

◆てんかんの診断は?
 ・原因による診断(医師が調べる)
 ・発作型による診断(観察者や本人から聞く)
 ・てんかん分類(てんかんの種類)による診断
   1)発症年齢
   2)発作型と発作の経過
   3)脳波、画像所見
   4)薬物反応性
◆てんかん発作の国際臨床・脳波分類
 1:部分発作
  A;単純部分発作(意識障害は無い)
  B;複雑部分発作(意識障害)

 2:全般発作
  a; 欠神発作
  b; ミオクロニー発作
  c; 間代発作
  d; 強直発作
  e; 強直間代発作
  f; 脱力発作

◆てんかんの治療は?
 1)手術の可能性
 2)抗てんかん薬 ・・・ 内服薬、座薬、注射薬
 3)特別な治療法 ・・・ ステロイド療法

◆抗てんかん薬の選択は?

◆抗てんかん薬の副作用は?
 ・カルバマゼピン; 複視、眠気、造血器障害
 ・フェニトイン; 眠気、多毛、歯肉肥厚、眼振
 ・バルプロ酸; 肝機能障害、吐き気
 ・ゾニサミド; 精神症状
 ・フェノバルビタール; 鎮静、眠気、精神症状

◆投与方法は?

・1種類の薬を少量より開始。血中濃度を見ながら最大限まで、もしくは副作用出現まで増加。単剤で発作止まらないときは2剤併用。減薬はゆっくり。減薬時、一時的に発作頻回に出現することあり。
・発作とまり、脳波所見正常で2年間様子観察後減薬除去可の場合あり。
◆全身痙攣発作時の対処方法は?
・安全確保(落ち着け!)
・窒息させない(咬ませるために棒を口腔内に入れない!)
・発作観察(眼球、四肢の動き。経過時間測定)
・発作後自発呼吸無い場合は、横隔膜刺激。
・5分以上発作止まらない場合や、一度発作止まっても意識戻る前に再び発作になる場合は救急車。

 

   次回、平成19年9月14日午後6時から

 


第83回家族会

平成19年9月14日
メンタルヘルス・サポートセンター 樋渡敏、野浪徳一、鈴木詠子
福智クリニック 三輪美幸

『日本精神保健福祉学会報告』

1.これからの精神保健福祉の動向について

 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害保健課課長補佐 鷲見 学氏
  『精神保健医療福祉施策の現状と課題〜精神保健福祉士に期待すること〜』

2.学会発表を通して

 ・福智会の取り組み:福智クリニック、カフェギャラリー寸心、
  澄心荘、(有)ベリタス、メンタルヘルスサポートセンター
 ・福智会の支援方針:早期社会復帰、ピアサポート、地域生活支援

3.学会参加を通して(他の取り組み)

 A)退院促進
  ・大阪医科大学病院附属病院における退院援助
  ・宮之城病院 グループホームでの関わり
  ・グループホームの課題

 B)地域生活支援

  ・愛媛県宇和島の財団法人正光会の取り組み
    〜訪問型個別就労支援について〜

 C)セルフケア

  ・セルフケアへの取り組み
   WRAP(Wellness and Recovery Action Plan:元気回復行動プラン)

 

   次回、平成19年10月12日午後6時から

 


第84回家族会

平成19年10月12日

『当事者による一人暮らし体験談』

 今回は、障害を持ちながらも実際に一人暮らしをしている当事者の方をお呼びして、 その体験談を語っていただきました。

◇自己紹介

◇一人暮らしを目指して
 ・まずはグループホームやショートステイから
 ・母親が反対する父親を説得

◇一人暮らしを始めて
 ・一人で自分の生活をするとクタクタ
 ・ボランティアを募るも、なかなか集まらず

◇自分にあったボランティアとあわないボランティア
 『私たちは「できること」と「できるけど時間がかかること」と「できないこと」がある。本人に聞かないでやってしまうことが一番困ること。』

◇印象深いボランティア
 ・若いボランティア=できない、ではない
 ・お互いが話し合い、理解や共感をしながら活動すればできること
 ・年齢は関係なく、お互いを尊重し、共に成長しあう関係を築きたい

◇ホームヘルパー制度
 ・色々な制度を利用して生活を組み立てる
 ・一人のヘルパーにすべてを求めない
 ・自分にあったヘルパーに巡り会えると信じること、あわないなら変える勇気も

◇現在の生活
 ・重度の訪問介護を受けてくれる事業所が少ない
  →思うように外出できない、法律の悪影響
 ・事業所のミス、ヘルパーの質の違い
  →事業所同士の競争で質の高いヘルパーの派遣を

◇ボランティアがかかわっている部分
 ・ボランティアは、お互いに力を合わせて様々な夢を膨らませる風船のような存在
 ・人生に楽しさや喜びをもたらしてくれる

◇周りの人に望むこと
 ・相手に声をかけ、援助が必要なのかどうなのか聞いてほしい
 ・障害を持っている人に自己決定を促すことも大事
 ・自己判断で行動をしない姿勢も大切
 ・親が元気だからこそ、一人暮らしを始められる
  →失敗しても戻るところがある

 

   次回、平成19年11月9日午後6時から

 


第85回家族会

平成19年11月9日
参加者47人 福智 寿彦

『統合失調症とはなにか 〜その1〜』

◆統合失調症とは?

◆統合失調症の疫学

◆統合失調症の原因@
 統合失調症の原因A
 統合失調症の原因B

◆統合失調症でみられる症状@
 統合失調症でみられる症状A

◆統合失調症による生活障害(生活制限)

◆生活障害に影響する脳機能障害
 認知障害とは?

 

 次回 平成19年12月14日
  4時から寸心で無心寮クリスマス会
  6時から家族会「統合失調症とはなにか 〜その2〜」

 


第86回家族会

平成19年12月14日
福智 寿彦

『統合失調症とはなにか 〜その2〜』

・生活障害に影響する脳機能障害 − 認知障害とは?
・患者さん − 困っていた症状
・統合失調症の自然経過
・統合失調症の治療
・統合失調症に対する薬物療法の目的
 (新規抗精神病薬の単剤使用でもたらされるもの)
・統合失調症の薬物療法に求められるもの
  長期的展望に立った治療
・自立した生活
・患者さんの立場に立った処方
  服用のし易さ  単剤・少ない服薬回数
・自立を支援する薬物治療
・患者・家族
  ⇒自立した生活を営むために、どういう自分でありたいか
・医療関係者
  ⇒自立をした生活を支える治療とは何か
・自立を支援する薬物治療
  自立した生活を営むために、最小限の薬剤で最大限の活動ができるような治療

[ 患者、家族 ]
  正しい知識と納得を得た治療を「自ら選択」する
  ⇒ 責任も生じる

[ 医療関係者 ]
  正しい知識の提供
  可能な限り単剤低用量
  薬剤の使用は患者さんの自立した生活を助ける為のものであり、
   症状を完全に取ることが目的ではない
  自立した生活を可能にする最低用量を推奨する
  自立した生活を継続する為に再発をさせない治療を提案する
  全ての薬剤は副作用があることを忘れない

 

  次回、平成20年1月11日
    ロスアンジェルス ロングビーチのヴィレッジ研修報告

 


第87回家族会

平成20年1月11日
阿部敬行 菅沼映里 小森正樹 芝高団美

『ヴィレッジ研修報告』

1.アメリカという背景

・20歳になると、子どもは親元を離れて一人暮らしをする
  →子は親に頼らず、自分で働いて生計を立てていく
  →親も子に頼れない

・「個」を主張する国民性、「個」を尊重する国民性
  →他者への優しさ、ユーモア
  →ピア・サポートしやすい国民性

・ホームレスが多い
  →仕事が無くなる = 生きていく術が無くなる

・ドラッグ、アルコールに逃避する人が多い
  →社会復帰の難しさ

 

2.ヴィレッジとは

[ 概要 ]

・ロサンゼルス郡精神保健協会(MHA)が運営する
 「ヴィレッジ統合サービス団体」のこと
 郡からの補助金で運営されている

・アメリカは医療費が高く、州の医療費負担額が多いので、
 それを減らしたいという背景がある

・常に新しいことを試み、「ヴィレッジモデル」を普及させた

・カリフォルニア州のロングビーチ市にある
 約500名のメンバーが、社会復帰を目指して取り組んでいる

 

[ 内容 ]

・当事者がスタッフとなり、他のメンバーをサポートしていく

・メンバーが地域で生活することを支え、
 リカバリーを進めていく団体
 (※日本なら病棟で生活しているような人が、地域で就職したり一人暮らししている)

    → ケースマネジメントとリハビリテーションを目指す
    ケアのシステム
  (※積極的に社会との接点を持とうとしている団体)

 

3.ヴィレッジの理念

・医療モデルと対極の位置にある考え方

 メンバー「幻聴がひどいんです」

 (日本)「幻聴をおさえる薬をのみましょう」
     (→ “病気” “症状”に注目)

   (ヴィレッジ)
  「もし、幻聴がなかったら、あなたはどうしたいですか?」
  「その目標のために、治しておきたい症状はどれですか?」
     (→ メンバー自身の“人生” “目標”に注目)

 その人の“強み”を殺さないような処方
 (※即効性 or 徐々に慣れていく − どちらを選択するか?)
  → その人の“強み”に希望をもってもらう

・“回復”とは何か?
 (日本)→ 症状がおさまること

 (ヴィレッジ)→ 運転免許を持つ、アパートに住む
         アイデンティティの形成
         感情面の変化(自尊心、平静心)

         その人の側からの“回復”
  = こちらから見て“幻聴がおさまったから良い”ではなく
    その人の視点から考える)

  → その人が病気で無くした人生を作り直し再構成すること

     →「あなたには“強み”があるから大丈夫だよ」という励まし

・経験至上主義 / 高リスク・高サポート

  “実際にやってみないとわからない”
   → 練習の機会の提供を重視

 「その人がどの仕事をどれくらいできるか、誰も予言はできない」

  誰もが経験することで成長してきた
   = 成長の機会を奪ってはならない

『 機会 = チャンス 』

 

4.PSCの役割

・PSC = パーソナル・サービス・コーディネーター
     (Personal Service Coordinator)

・日本でいうPSW+CP
  →ケースマネジメント、カウンセリングができる

・メンバーを大人として、一人の人間として尊敬している
  (※尊敬できないと解雇されることも)
 「望み」をもつ(=可能性を信じる)
   − 自分の価値を見つける手伝いをする

・統合失調症の問題
  「集中力の低下」
  「他者との協力が難しい」
   → これらの機能を高める手伝いをするのがPSC

・まずはメンバーとの関係を構築する
  →その人が何を欲しているか、
   何を大事にしているかを知ることから
  (= その人の“強み” “回復”とは何かを理解する)

・担当メンバーと毎日連絡をとる
  自分の携帯番号を伝えているPSCもおり、
  緊急性があるなら夜でも本人のもとへ向かうことも
   → 大きな信頼感へとつながる
     しかし関係性を“勘違い”するメンバーも出る
      (PSCの倫理が求められる)

・メンバーが「何をしたいか」を常に問いかけていく存在

例)
・PSCが街でホームレスを探す

・Drop in centerへ連れてくる
  (※本人に社会復帰の意志があれば)

   補助金の審査(重度の精神障害者etc.)を満たした人が
  利用できる
 来ると15ドルもらえる
 身なりを整える(シャワー、着替え)
 ホームレスでもここで郵便を受け取れる
 PSCと一緒にアパートを探したりできる

例)
・メンバーと一緒にその人の目標をたてる

・「幻聴がひどいんです」
 「女の子とデートをしたいけど幻聴が邪魔する」

   →「原因は幻聴だけじゃないかもしれない」
   身なりを整えて、デートに誘うお金が必要
   アパートがあって、相手を家に呼べるといいね
    (=より具体的・現実的なサポート)
 →小さな仕事(タスク)を経験して土台を作っていく
 →できたら“お祝い”をする、きちんと誉める
  →目標へと近づけていく

 

5.リカバリーの段階

1)希望を持つ

2)エンパワメント(自信の回復)

3)責任を取る

4)生活のなかの有意義な役割

 

6.今後取り組みたいこと

・褒める仕組みづくり
  → ドラゴン賞のパワーアップ
  → 日常的に皆の前で祝う

・ケアマネジメントの強化
  → 書式整備、研修等

 

  次回、平成20年2月8日
    

 


第88回家族会

平成20年2月8日
福智 寿彦

『統合失調症の薬物療法』

 

 統合失調症の治療に用いられる薬は、抗精神病薬と呼ばれています。この薬を飲むと、病気のために起こっている感情不安定・妄想・幻覚思考の障害などを軽くすることができます。
 脳の中で起きている情報伝達機能の混乱を改善させることによって、症状が抑えられると考えられています。

[ 統合失調症治療薬の特徴 ]
◆新規(非定型)抗精神病薬
 主にドーパミンとセロトニンという神経伝達物質に作用することにより、陽性症状・陰性症状の両方に対する効果が期待されています。

◆従来型(定型)抗精神病薬
 主にドーパミンという神経伝達物質に作用することにより、陽性症状に対する効果が期待されています。

◆持効性抗精神病薬
 1回の投薬(注射)で1週間以上の効果が持続する薬です。


[ 主に使用されている統合失調症治療薬一覧 ]

[ 抗精神病薬の多剤大量療法の問題点 ]

1.有効な薬物の確定困難、至適用量の決定困難
2.副作用発現時、原因薬物の判定困難
3.少量ずつの併用では、どの薬物も有効血中濃度に達しない可能性
4.併用薬によっては向精神効果が減弱する可能性
5.薬物相互作用による副作用の出現や相乗的増加の危険性
6.調剤ミス、投薬ミスや服薬ミス誘発の危険
7.服薬コンプライアンスの低下
8.医療費の増大
9.副作用軽減や予防のための薬物の追加併用の必要性
10.個々の薬物の特徴把握困難
11.文献との照合困難
12.新規(非定型)抗精神病薬のメリット喪失
13.死亡率の増加


[ 新規抗精神病薬への切り換え ]
〜どういう時に切り換えを考えるべきか?〜

1.従来型抗精神病薬による治療で、錐体外路症状を中心とした副作用が問題になっている場合。
2.陰性症状・認知機能障害、抑うつなど、従来型抗精神病薬があまり有効でない精神症状が問題になっている場合。
3.難治性(陽性)症状が問題になっている場合。
4.コンプライアンスを向上させたい場合。
5.患者や家族が新しい抗精神病薬への切り換えを強く望んでいる場合。
6.再発予防・外来維持効果を高めたい場合。
7.生活機能レベルの改善を目指す場合。


  次回、平成20年3月14日
    薬物療法 その2

 


第89回家族会

平成20年3月7日
福智 寿彦

『統合失調症の薬物療法 その2』

1:統合失調症の薬物療法の基本方針

2:主に使用されている統合失調症治療薬一覧

3:わが国で多剤大量療法が生じる原因

4:多剤大量療法をどうする?方法は3つ

5:従来型抗精神病薬から新規抗精神病薬に切り換えるときの留意点

6:抗精神病薬の副作用

7:抗精神病薬による糖尿病罹患率 肥満にどう対応しようか?

8:副作用に対する処置

9:自ら選択するーアドヒアランスという考え方とは?

10:統合失調症の発症から自立へのステップ
   さ、がんばってステップを上がっていこう
     〜アドヒアランスはその第一歩〜

 

  次回、平成20年4月11日金曜日 午後6時から
    「社会情勢と精神医療」  福智クリニック2階で

 


第90回家族会

平成20年4月11日
福智 寿彦

『社会情勢と精神医療』

◇世の中どうなっているの?

 2003年度から2006年度まで2%以上の成長 2007年度は1.6% 2008年度は0.8% アメリカのサブプライムローンやクレジットバブルの崩壊が原因
 当のアメリカは2007年度2.2% 2008年度は1.3%と言われている

 日本がバブル崩壊ですでに経験したことをこれからアメリカが経験する
  ⇒ 銀行による貸し渋り ⇒ 優良企業へもダメージ
   ⇒ 病院経営、福祉施設へもダメージ

 ・アメリカの医療の問題

 アメリカには日本のような国民皆保険制度がない 国民の16%(2005年)が保険に未加入 民間の保険に加入しても適用外条件が多く、法外な医療費を請求される 制度改革求める声大きく大統領選の争点の一つ

 ・イギリスの医療崩壊について

 サッチャー政権は福祉国家解体を掲げ、医療費抑制政策を断行
 医療費が少なく、治療に必要な資金が慢性的に不足
 医療従事者の給与は低く士気低下、多くの医師が海外に流出、医療の質は低下し、検査や手術を受けるのに長時間待たされる
 ブレア政権は医療費総額1.5倍に拡大する大改革を決行したが未だ功を奏していない
 日本の医療費の対GDP比は、サッチャー政権時代に匹敵。

 ・政府の間違った判断が医療崩壊へ

 医療費が高い、医師が儲け過ぎている ⇒ 80年代の診療報酬抑制、医師養成の抑制
 90年代患者負担増、医療分野の規制緩和 ⇒ 医師不足、医師の偏在、
 救急医療問題:大阪の救命救急センター搬送拒否で患者死亡
  愛知県が救急病院減少率高い栃木県についで上位2位(−21.1%)

 ・医師のノーブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige)崩壊
   位高ければ徳高きを要す 崩壊 ⇒薬・検査漬け医療、
 ・産婦人科・小児科問題、医療訴訟、自治体病院問題、
 ・若手医師の意識変化  ライフスタイルや価値観変化

 ⇒ 医療崩壊

 ・平成20年4月から後期高齢者医療制度
  75歳以上 診療報酬は包括性(定額制) 75歳以上全員が年金から天引き
  3割自己負担 欧米は無料か全額払い戻しが多い

◇医師数は本当に多すぎるのか?

 医師数25万9000人 人口1000人当たり2人でOECD加盟国中27位
 平均より12万人医師数少ない

 低い診療報酬 医療機関の経営悪化
  ⇒スタッフ減り医療の質低下 必要な医療提供できない
   保険がきかない自費医療の増大
 日本の医療費は先進7カ国で最低 30カ国中22位

 それでも日本の医療は世界一
  WHOの健康達成度世界一位 世界一の長寿国 世界最低の新生児死亡率
  安い医療費で最大の効果を出している医師の努力

 ・医療崩壊から立ち直るには

[ 病院がすること ]
 働き甲斐のある病院 医師の増員 給与を上げること
[ 厚労省がすること ]
 4月の診療報酬改定 医師不足対策 勤務医の負担軽減
[ 医師がすること ]
 ノーブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige)
[ 市民・マスコミがすること ]
 医療崩壊の現実を社会の人はほとんど知らない
[ 行政がすべきこと ]
 2008年2月超党派国会議員により「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」発足。議員70人。

◇精神科医師の質の問題?

・精神の医療レベルの低下(楽で儲かること期待して精神科医に)←精神病院中心の医療
  人間を内的に掘り下げることが精神医学の高級な面であると勘違い
   ⇒結果を重視しない(つまり、理解することに興味があり患者が良くなったのか、幸せなのかは重視しない)
   ⇒患者さんのための治療(医療)をしよう!!!
  外に向いた精神医療の提唱 それが患者さんのためそして医師自身のため。

・どうすれば良いか?
  社会復帰の専門医制度
  社会復帰に保険点数を
 医師同士が指摘、チェック、評価
  ⇒患者さんの将来を考えて医師は病気を治すことに専念しよう!!
  ⇒患者さんが将来幸せに暮らせるようになることが我々の幸せ

◇精神障害者が低所得者となり、医療を受けられないようになる?

低所得層は受診も二の足 "医療格差"2倍以上 民間研究機関が調査

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2007年2月16日】
 民間研究機関の日本医療政策機構(代表理事・黒川清(くろかわ・きよし)前日本学術会議会長)は15日、医療と所得をテーマに実施した世論調査結果を発表。具合が悪いのに医療機関の受診を控えた経験がある人の割合は、低所得層の方が高所得層より2.5倍高く、医療費に不安を持つ低所得層は、高所得層の2.3倍と、格差が浮き彫りになった。

 同機構は「格差を前提にした医療政策論議をするべきだ」と提言している。

 1月、無作為抽出した全国の20歳以上の男女4000人に調査票を郵送。回答者のうち所得が分かった約1100人を、年間世帯収入800万円以上で貯蓄2000万円以上の高所得層、年間世帯収入300万円未満で貯蓄300万円未満の低所得層、それ以外の中間層に分けて分析した。

 「深刻な病気にかかったときに医療費を払えない」と不安を持つ人は、高所得層36%、中間層74%、低所得層84%。過去1年以内に「具合が悪いところがあるのに医療機関に行かなかったことがある」は16%、25%、40%。「薬を処方してもらわなかったことがある」は4%、11%、18%と、いずれも低所得層ほど高い数値となった。

 高所得層の57%が現在の医療制度に満足しているのに対し、低所得層は72%が不満と回答。低所得層は、国民の負担を抑えながら標準的な医療を公的に保障する制度を求め、高所得層は米国のような標準以上の医療を個人の自己選択で受けられる制度を求める傾向が高かった。

◇統合失調症の日本での現状は?

・生涯有病率 1000人に対して0.9から17.0人
  長期転帰 資料A

完全寛解・非再発型:4から7%で一定
不全寛解・非再発型:5年後まで21%で10年後には0%
完全寛解・再発型:20から25%とほぼ一定
不全寛解・再発型:18%から48%へ
精神病性症状持続型:33%から21%へ
 ⇒ つまり多くは不全寛解・再発型になる

・受診患者数の年次推移 (S,M,N,AL,MR,)
  資料B
 2002年急増、受診患者数が66万人から227万人へ 外来が急増

・統計

 平成8年データ
 精神障害者217万人 人口の1.7%
 統合失調症(妄想性障害含む)は72万人 人口の0.6%
 精神病院の在院患者数は33万人でうち統合失調症は21万人(64.9%)
 退院患者の在院日数 全科で40.8日  精神科では330.7日(統合失調症に限ると606.1日)これは退院患者から求めた平均在院日数
 実際の調査で入院期間を算出すると平均8.5年
 社会的入院は30から40%

 外来患者は183万人で統合失調症は50万人(27.3%)、神経症圏24.9%、気分障害22.3%、てんかん16.7%

・援助サービスが必要な数
  全精神障害者では通院患者64.2万人、入院患者34万人で計98.2万人、
  うち統合失調症では通院21万人、入院患者20.5万人で計41.5万人

◇精神障害者退院促進支援事業とは?

 国は平成16年9月に「精神保健福祉医療改革ビジョン」を示し、今後10年間で約34万人の入院患者のうち受け入れ条件が整えば退院可能な者約7万人を解消するとしている。こうしたビジョンを背景に障害者自立支援法が成立。法第78条地域生活支援事業のうち、退院促進支援事業は、県事業として必須事業とされた。愛知県における受け入れ条件が整えば退院可能な患者数は平成18年8月調査では、1000名である。(国の推計では約3000人)

・精神科クリニックの現状
  精神科診療所協会会員数1990年600⇒2005年1400
  デイケア併設のクリニック2000年240⇒2003年379

◇私が注目している心理社会的リハビリテーションとは?

 個々の症例のニーズや環境に考慮した治療実践として、生物学的諸研究の成果と統合失調症を持つ人間をつなぎ、社会的転帰を導くためのもの。
 しかし、
  対象や介入技術の均質性、治療効果の再現性を実証的研究にするのが難しい。

・心理社会的治療とは?
日本:
 個人精神療法、レクレーション療法、SST、心理家族教育、職リハ、生活支援プログラム、居住サービスプログラム
アメリカ:
Patient Outcome Research Team(PORT)の報告 , Family Intervention(家族介入), Supported Employment, Assertive Community Treatment (ACT), Skills training, Cognitive Behaviorally , Oriented Psychotherapy, Token Economy Intervention(金の使い方練習)の6つ。
・認知機能との関係
  ⇒認知機能の改善が重要だ
つまりは、薬の知識、生活支援・就労支援への意欲、家族心理教育への意欲、を持ち合わせた医師でないと始められない。

・心理社会的リハビリテーションの効果
 Bustillo

 家族介入やACTは精神症状や社会機能への効果は一定しないものの、再発・再入院予防には効果的である

 SSTは再発予防効果は不十分だけれども、社会的役割機能の向上、社会機能改善には有効である

 援助付雇用プログラムは就労現場での直接トレーニングによって就労率を上げることができている
 認知行動療法においては薬物療法抵抗性の幻覚症状を改善させる効果
  ⇒寸心においてのトレーニングが一番の就労支援となっている
   スタッフも一緒に現場へ出ないとダメ。
  ⇒当院ではWCST改善することがわかった。

◇日本の精神病院入院患者さんは?

精神病院入院患者の在院期間比較
 精神病床35万床の約7割は1年以上の長期入院患者
 5年以上の長期在院は減少傾向にあるものの、1年以上5年未満は増加

デイケアの普及

 単科精神科病院は58.9%、単科以外の精神科病院は40.2%、精神科診療所は14.4%でデイケアを実施
 延べ外来者数に占めるデイケア利用者数割合は21.5%
 精神科デイケア利用回数は一人当たり1ヶ月に10.1回
 精神障害者退院促進事業の利用者50歳代が最も多く36.4%、40歳代21.9%、60歳代21.1%
 対象者の入院期間は5年以上が過半数、1から4年も37%
 対象者の89.9%が統合失調症
 退院後の住まい
  自宅(家族同居)が10.1%、自宅(独居)が30.3%、入所系精神障害者社会復帰施設が33.7%、グループホームが15.7% その他
 退院後の通院・通所
  精神科デイケア38.2%、往診・訪問看護18%、

 ⇒ デイケアが退院促進に果たす役割は大きい
 ⇒ 自分から通所できる人だけを対象としていてはいけない 訪問看護もセットで必要

・デイケアの今後

精神科病床数減少に役立っている事を証明しなければならない
 ← 医療費圧縮のためデイケアへの行政指導が目立つ
デイケア離脱困難群が利用者の20%ちかくに
 ⇒ 評価とプラン スタッフが足りないが国の予算は増えそうにない
外来のみでは治療困難な疾患への対応がデイケアではできる
 ⇒ うつ病、不安障害、摂食障害、人格障害、アルコール症へのデイケアの必要性

# デイケアでしなければならない事

 本人・家族に「どんな生活がしたいのか」「何ができるか」「親亡き後は」の評価と目標設定
 病識不足ゆえに就労できない ⇒ 集団で体験とトライアンドエラーでの気づき
 病識はあるが就労できない ⇒ 医療と生活支援と一緒に就労 スタッフチームで スタッフが就労現場に入る
 ⇒ 重度の人は医療と生活の援助が同時に必要

# まず、問題意識から

 皆忙しい
  臨床の現場でのマンパワーと時間が問題だ!

  次回、平成20年5月9日金曜日 午後6時から
    福智クリニック2階で