【 名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会 】

第6回・社会と精神医療、障害者雇用に関する現状と施策(08.04.23)  ・・・詳細
   福智クリニック 福智寿彦 中村晋児
■第5回・ヴィレッジ研修報告(08.01.27)  ・・・詳細
   福智クリニック 菅沼映里 芝高団美 小森正樹

■第4回・イギリス精神保健福祉小史(07.11.16)  ・・・詳細
   心療クリニック パティオちた 水野 信義先生
■第3回・最近の精神保健福祉の話題(07.09.22)  ・・・詳細
   京ヶ峰岡田病院 精神保健福祉士 竹中秀彦先生
■第2回・精神科地域ケアについて(07.07.31)  ・・・詳細
   医療法人資生会 八事病院理事長 水谷浩明先生
■第1回・名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会(07.03.31)  ・・・詳細
   福智クリニック 福智 寿彦


第6回・社会と精神医療、障害者雇用に関する現状と施策(08.04.23)

 2008年4月23日、当クリニックにて第6回・名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会が行われました。
 医師・精神保健福祉士・看護師・作業療法士・心理士を含め、約25名が出席しました。

●「社会と精神医療」−院長・福智寿彦より−

中央総研の勉強会から精神医療を眺めてみた

先行き不透明な環境下における日本経済の動向
 −崩れる世界経済の均衡と「もはや一流でない日本経済」−
世界の経済成長  途上国の急成長により世界経済は高度成長
 世界の実質経済成長率4%程 日本は1% 貧しい国になりつつある
去年まで⇒ グローバル化による日本経済の没落と復活
     ⇒ しかし今年に入り円高に
     ⇒ 格差拡大 (経済圏格差、地域格差、個人格差)
精神障害者も住む地域により受けられるサービスが異なる
精神障害者が相対的に貧困層になる可能性大きくなる

今期の経済的問題点
サブプライム問題で崩れた世界経済の均衡
  サブプライムローンは消費拡大と米国への資金流入の目的があった
   しかし住宅バブルの崩壊 ⇒ サブプライムローンの不良債権化
    何を引き起こすか?
世界の投資資金の米国離れが進行中 −世界の通貨の63%がドル  ⇒ ドルと円の価値が半分に!
質への逃避による実物資産高騰によるインフレ懸念
精神障害者がインフレにより購買力低下

 一人当たりの国民所得は93年2位から06年18位へ
 一人当たりの国民所得の伸び悩みは平均給与の低下が原因
 労働人口の減少も国民所得の減少要因
  ⇒ 移民の受け入れに踏み切るか生産性アップしかない
精神障害者は生産性を上げることがとっても苦手 企業から排除される可能性
格差の拡大で疲弊する地方経済と低下する公共サービス
 田舎では障害者も住みづらくなっている

労働人口の急減で深刻となる人手不足
 労働人口は15年で500万人減少(愛知、岐阜、三重の労働人口がちょうど500万人)
新卒もパートも採用難 やっと採用しても低下する定着率
 大卒で3年以内に辞める人36%
 高卒で3年以内に辞める人50%
  ⇒ 精神障害者の雇用には良いニュースかも
少子高齢化により変化する国内マーケット
 一人世帯が急増⇒消費活動が変わる
  ⇒ 精神障害者も一人暮らし⇒ 家族の協力無理
   ⇒ 一人暮らし同士でのサポート考えよう

 都市部へ人口集中 空き家が増える地方の土地、建物
  日本の50%以上が三大都市圏で生活
  郊外の町も人口減少へ
   ⇒ 都心での障害者と健常者の同居都市をつくろう!
人口が減っているのにドンドン増える国の借金
 ⇒ 補助金頼みの医療、福祉は真っ先に無くなる
 我々はこれからどう対処したら良いか?
 環境の変化はニーズの変化   ⇒ 精神医療を取り巻く環境も変わっていることに早く気づくべき   ⇒ 経営者の仕事はどこへ参入し撤退するのかの意思決定
 精神医療で何が必要とされているのか(ニーズの変化)を考え一歩先(10年後)を見据えた経営、システム作りを

私の推測⇒ うつ病・統合失調症患者さんは少なくなる
  ⇒ 医療施設として何が必要とされている理由なのか考えるべき
  ⇒ パイが小さくなる国内市場だから病院も医院も医師もスタッフも「生き残る」ことが重要
 生き残るためには常に変化しようという意識と内部留保の暑さが不可欠
将来起こる可能性が高いリスクへ備えることが大切
 長生きのリスク、 インフレのリスク、 円の価値下落のリスク
   ⇒ 激動の時代だからこそ情報収集と的確な判断がより重要

精神科医は他科の医師より社会を理解して治療指針、経営を考えなければならない。

私たちの人生はあまりに短く なすべき仕事はあまりに多いのです  これ以上偏見を私たちの周りではびこらせないために 偏見は政策や決議では追放できません 私たちが一瞬でも思い出すことが大切なのです 共に暮らす人々は皆同胞であることを 彼らも我々と同じように短い人生を生き 支えられた命を私たちと同じように最後まで生き抜きたいと願っているのです 目的を持ち幸せに満ち足りた達成感のある人生を造ろうと 共通の運命を生きる絆は必ずや私たちに何かを教えてくれるはずです  必ずや私たちは学ぶでしょう 周りの人々を仲間としてみるようになるはずです そして努力し始めるでしょう お互いの偏見をなくし お互いの心の中で再び同胞となるために
                           (議員演説引用)
                              福智寿彦

 

●障害者雇用に関する現状と施策 −PSW・中村晋児より−
 障害者雇用促進法の改正により、平成18年4月から精神障害者も障害者雇用の対象となった。
 一般民間企業の法定雇用率は、1.8%(従業員56人に対して1人の割合)
 現状では、愛知県の雇用率も全国の雇用率も、約1.5%で下回っている。
 産業別では、サービス業や情報通信業が低く、製造業や電気・ガス・水道業は高い傾向にある。

 必要ならば公的制度を利用することで就労支援を促進
  ・特定求職者雇用開発助成金
  ・愛知県障害者定着雇用助成金
  ・精神障害者ステップアップ助成金 等

 精神疾患を理解した支援者側が、当事者が働く為のシステム作りを。
  −見学・面接時や就職後も、スタッフが同行
  −企業に対して、新しい職務や雇用管理に関して提案
  −当事者に適したマニュアルを作成
  ⇒これらの方法により、主治医の予測と反して見事に就労を継続している方がいます。

 就労と生活は、切っても切れない関係。
 生活支援の中に就労支援があると捉える見方が大切。

 最新の社会情勢に関する情報をたたき台に、先生方から様々な意見をうかがうことが できました。


■第5回・ヴィレッジ研修報告(08.01.27)

 2008年1月24日、当クリニックにて第5回・名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会が行われました。

 今回は、福智クリニックのスタッフによる、カリフォルニア州ロサンゼルス郡でのヴィレッジ研修報告を行いました。医師・PSW・作業療法士・心理士を含め、20名程が参加しました。

 ヴィレッジの概要から始まり、活動の核となるPSC(Personal Service Coordinator)のケースマネジメントの内容などについて説明がなされ、日本とアメリカとの精神医療の取り組み方の違いが浮き彫りになりました。

 参加者の皆さんからも積極的な質問があがり、大変有意義な時間となりました。

 


■第4回・イギリス精神保健福祉小史(07.11.16)
   心療クリニック パティオちた 水野 信義先生

1.精神病院前史
 1247年 ベスレム王立病院(St. Mary of Bethlem、移転しながら現在に至る)
 その他、救貧院(workhouse)という収容施設に入れられた。
 1829年 狂者院法(Medhouse Act)

2.癲狂院(Lunatic Assylum)の時代
 1845年 癲狂法(Lunatic Assylum)
 癲狂院
 テューク(Tuke, William.1732-1822)によるヨーク退避所(York retreat,1794)
  における道徳療法(moral treatment)、子孫による継承。
 コノリー(Conolly J, 1794-1866)の無拘束治療
  …フランスのピネルらに影響、日本の呉秀三にも影響を与えた。

3.精神病院(Mental Hospital)の時代
 1923年 モーズレイは癲狂院という用語を使わず、精神病院(Mental Hospital)と称して、
  自由主義的ケア、外来治療を開始した。
 1930年 精神科治療法(Mental Treatment Act)
  地方局に対して、外来診療所やアフターケア施設の推奨

4.第二次大戦後
 1948年 国民保健サービス(NHS)が成立。国民に無料で包括的な保健医療サービスの提供へ。
 1950年代 フランスで抗精神病薬の開発(クロルプロマジン)
 1960年代 病院改革の運動(マックスウェル・ジョンズ、クラークなど。治療的共同社会、
       環境療法の試み)
      反精神医学運動(レイン、クーパーなど)
 1970年代 「精神疾患に対するより良いサービス」(白書)
      脱病院化すすみ、地域精神保健・医療が進展

5.精神保健チームアプローチ
 1983年 「精神保健法」地域精神保健チーム
 1991年 地域精神保健チーム、プログラムアプローチの開始
     しかし、NHSの経済的困窮から「諸サービスのなかで貧しい関係」に留まる
 1980年代〜1990年代初頭「国民の健康」「もっと健康な国民へ」などが改善を強調

6.精神保健サービスの近代化
 1998年 「精神保健サービスを近代化するために」(白書)より安全で、10の指標となる
     価値と原則に沿った、健全で支持的なサービスの構想を推進した。

・ケアの計画と配分に、サービス利用者と介護者が参加する
・効果があり、受け入れ可能なことが良く知られている高い質の治療とケアを届ける
・利用する人にうまく合っており、差別的でないこと
・利用しやすいようにして、援助が必要な時と所で得られること
・利用者の安全と、介護者、スタッフ、より広い公衆の安全も推進すること
・自律性を推進するために選択肢を提供すること。すべてのスタッフと期間の間で共同して
組み立てられていること
・必要な期間だけケアの継続性を届けること。それらスタッフの力量を高め(エンパワーし)、支えること
・そして、公衆、サービス利用者、介護者への適切な説明責任を果たすこと

 1998年 「社会サービスの近代化をするために」(白書)
     なお、社会サービスと精神保健サービスの分離がある。
 1999年 「保健法」プライマリケアトラスト、NHSトラストをも含んでいる。
     また財政的にも法的にもNHSと地方自治体の協調性の改善を図った。
 2000年 「精神保健のための国のサービス枠組み」(白書)は、政策を洗い直し、それらの
     達成の為の細かな基準(7つの基準)、ねらい、進行表を用意した。

・基準1.保健と社会サービスは、精神保健全体を推進すべきこと。精神障害をもった人への差別と戦い、社会的包摂を推進すること。
・基準2.精神保健上の問題をもってプライマリケアチームに接触した人は、精神保健上のニーズを認め、アセスメントされ、効果的な治療が提供されること。
・基準3.税所の水準のアドバイスと紹介が得られるように、関係者に24時間接触出来るように、また新しい電話サービス、NHS directを創設すること。
・基準4、5は、重篤な精神疾患をもった人へのサービスに向けられている。利用者は、契約を適切にし、危機を予期し、予防し、リスクを減らすこと。おのおのが紙に書かれたケアプランを持つべきである(基準4)
・おのおのがちょうど良い時に入院あるいは適切な代替物にアクセスできるように、そして書かれたアフターケアの計画を一部もつこと。

 2002年 「NHSプラン:行動のためのプラン、改革のためのプラン」は、NHS始まって依頼の大改革であった。
 2003年 「精神保健政策の定着の手引き、成人の急性期入院ケア規程」 病院の改革を含む。

 


■第3回・最近の精神保健福祉の話題(07.09.22)

 2007年9月20日、当クリニックにて第3回・名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会が行われました。

 今回は、日本精神保健福祉協会会長の竹中秀彦先生による発表があり、医師・PSW・作業療法士・心理士を含め、25名が参加しました。

 竹中先生は『最近の精神保健医療福祉の話題』という演題で発表。
 精神保健福祉士の概要・経緯・福祉政策の動向・今後の展望と課題・・・等々、先生の考えを多岐に渡って御説明していただきました。

  ◆詳細は追って更新致します◆


■第2回・精神科地域ケアについて(07.08.03)

 2007年7月26日、当クリニックにて第2回・名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会が行われました。
 出席者は、Dr.9名、PSW13名、看護士5名、心理士5名の計32名。

 八事病院理事長の水谷浩明先生が、精神科地域ケアについての講演をされ、精神保健福祉の先駆的な活動で知られる、北海道と長野県の現状について丁寧な説明がありました。

 中でも、退院促進事業に力が入っていることを取り上げ、各県内の精神科医同士の連携がよいことに着目。愛知県における総合病院と診療所のネットワークをどう構築していくかについて、各先生方同士の活発な意見交換がなされました。

 

  ◆詳細は追って更新致します◆


■第1回・名古屋Psycho Social Rehabilitation研究会(07.03.31)
   福智クリニック 福智 寿彦

 

[ 統合失調症の疫学 ]
 ⇒ 多くは不全寛解・再発型になる

[ 精神障害者退院促進支援事業 ]
 精神科病院病床数2011年までに5万床削減する
  ⇒ 医師も看護師もPSWも外来治療へ

[ 法制度について ]
 ⇒ 3障害共通の障害者自立支援法
    平成18年10月より全面施行

[ 精神科クリニックの現状 ]
 愛知県で年間7〜8のクリニック新規開設
 名古屋市は地下鉄沿線飽和状態
  ⇒ しかし、うつ病患者さんでどこも外来大忙し

診療所で統合失調症を診る時代になるか?
デイケアで、うつ病診る時代になるか?

[ デイケアの普及 ]
 ⇒ 延べ外来者数に占めるデイケア利用者数割合は21.5%

[ デイケアの今後 ]
 精神科病床数減少に役立っている事を証明しなければならない
 デイケア離脱困難群が利用者の20%ちかくに
 外来のみでは治療困難な疾患への対応
  ⇒ うつ病、不安障害、摂食障害、人格障害
    アルコール症へのデイケアの必要性

[ デイケアでしなければならない事 ]

 本人・家族に「どんな生活がしたいのか」「何ができるか」「親亡き後は」の評価と目標設定

 ・病識不足ゆえに就労できない
  ⇒ 集団で体験とトライアンドエラーでの気づき
 ・病識はあるが就労できない
  ⇒ 医療と生活支援と一緒に就労
    スタッフチームでスタッフが就労現場に入る
 ・ACTで重度の人、デイケアで軽症の人
  ⇒ 重度の人は医療と生活の援助が同時に必要

[ 心理社会的リハビリテーション ]

 個々の症例のニーズや環境に考慮した治療実践として、生物学的諸研究の成果と統合失調症を持つ人間をつなぎ、社会的転帰を導くためのもの。

 ⇒「薬の知識」「生活支援・就労支援への意欲」「家族心理教育への意欲」を
  持ち合わせた医師でないと始められない。
 ⇒心理社会的リハビリテーションは他の治療と結びつける

[ 成年後見制度の普及から見える認識の甘さ ]
 ⇒ 成年後見制度が精神障害者のために生かされていない。なぜか?
 ⇒ 本人が能力無くなったら本人の利益のために使う制度なのに、
   実際には家族が必要としないから使わない。
   家族のための制度になってしまっている。

精神障害者の地域生活をサポートするシステムを作りませんか?