製薬会社における講演会

「統合失調症の社会復帰の現状と
ペロスピロン、リスパダールの特徴比較」

福智クリニック 福智寿彦 

平成14年12月20日

1:統合失調症は治る病気

統合失調症とはどんな病気か?
・ 生物学的疾患の一群であり多様性がある
・ 最新の治療(薬物療法と心理社会的治療)を受けることにより社会生活できるようになる病気
・ 最新の治療とは非定型抗精神薬と社会復帰のためのプログラム
・ 発病当初の治療が大切(15歳から30歳)
・ 50歳以上では安定期に入る(未治療の人で)
・薬の問題
 〜薬の開発が遅い〜
  抗精神薬が使用され始めたのは1950年代初頭。
  発病当初から抗精神薬で治療を受けた人の60%が60歳代70歳代に達したときには、ほとんど全快に近い状態。
 〜非定型精神薬の効果は定型精神薬より期待できる〜

 
・医師の問題
 
 1.医師が未だに統合失調症を治らない病気と思っている。
 2.症状再燃を恐れて社会のストレスから遠ざけるのが良いと思っている。
 3.今まで薬理学的知識無くても、笑顔と経験で臨床をこなせた時代だった。
 

つまり、いかに早期治療が大切かということ。

1;副作用の少ない薬で早期に病状活動期を終息させる。

2;たとえ症状が改善しても、長い間何もせず病室や部屋に閉じこもっていたのでは、症状よくなっても生きがいがない。若い時期の活動期に社交性や生活能力を上げることが大切。

⇒ 統合失調症は治る病気だ!

2:社会復帰のための資源

1;制度 
 精神障害者ケアガイドライン(ケアマネジャー)
 精神障害者居宅介護事業(ホームヘルパー)
 精神障害者保健福祉手帳
2;施設
 (1)生活訓練施設(援護寮):福祉ホームより訓練・指導
    に重点。2年。
 (2)授産施設:就労訓練施設、作業所。
 (3)福祉ホーム:生活の場提供、長期在院患者の受け
    皿の苦肉の策。
 (4)福祉工場:授産施設と異なり労働基準法上の最低賃
    金を支払う。
 (5)地域生活支援センター:相談、指導、助言、福祉
    サービス利用の助言、関係施設との連絡調整を行
    い自立を目指す。人口30万人に2ヶ所が目標。

精神障害者ケアガイドライン(ケアマネージャー)

1998年精神障害者ケアガイドラインを厚生労働省制定。ケアマネージャーがケアプラン制定。2003年から本格的導入めざし厚労省動く。
高齢者や身障者等と同等の地域ケアの導入が可能になる。利用者中心のケアサービスの構築が可能。サービスの地域格差が是正される。援助の有効性が確保され、確認可能となる。

精神障害者居宅介護事業(ホームヘルパー)

2002年4月より施行。精神障害者が居宅において日常生活を営むことができるように精神障害者の家庭にホームヘルパーを派遣して、食事及び身体の清潔の保持等の介助を供与する。
事業の主体は市町村。社会福祉法人、医療法人等を補助することにより事業を実施。
精神障害者保健福祉手帳
・平成7年精神障害者保健福祉手帳制度創設。
・医療費の公費負担
・所得税や住民税の障害者控除
・生活保護の障害者加算(障害者年金)
・公共施設利用料の減免

3:社会復帰の現状

1987年精神保健法成立により社会復帰施設が法定化され社会福祉法人、医療法人などの非営利法人が設置運営できるようになった。

1995年精神障害者福祉法成立により、福祉政策が加わり地域ケアのプログラムが厚くなった。その時7カ年計画の目標値制定。

4:愛知県の現状

・医療機関は精神病院が多い。
・ 医師の考え方が精神療法主体。薬理学、社会復帰に関しての興味低い。
・ 患者家族会が機能していない。
・ 精神障害者に対する偏見が強い。
・ 保守的、変化を嫌う。

5:今後必要なもの

・ 医師の意識改革。
・ 薬の開発、臨床での効果確認。
・ ケアマネージャーが生活支援センターを核として采配を振るう。
 利用者のニーズに基づいて必要なケアを利用者に紹介。障害の支援と援助の見立て。
・ 精神科デイケアの位置づけ
 入院から外来治療への橋渡し。地域生活を支援・援助。地域ケアへの入り口であり、次なるケアへ移っていけるように援助を行う。

精神障害者に必要なもの
1)単身生活する能力
2)就労の場
3)楽しみ

Risperidone, Perospironeに注目した理由

・5-HT2/D2に対象を絞っている(MARTAでない)
・日本で開発2;施設

 (1)生活訓練施設(援護寮):福祉ホームより訓練・指導
    に重点。2年。
 (2)授産施設:就労訓練施設、作業所。
 (3)福祉ホーム:生活の場提供、長期在院患者の受け
    皿の苦肉の策。
 (4)福祉工場:授産施設と異なり労働基準法上の最低賃
    金を支払う。
 (5)地域生活支援センター:相談、指導、助言、福祉
    サービス利用の助言、関係施設との連絡調整を行
    い自立を目指す。人口30万人に2ヶ所が目標。
・体重増加が少ない
     

臨床研究を始めた目的;
 1)外来患者のリスパダールとルーランの治療効果
 2)デイケアの治療効果

1)陽性症状にはRisが良いのか?(D2拮抗作用強い)
2)過鎮静もしくは陰性症状の増悪はRisに多いか?(α1拮抗作用強い)
3)Perの抗うつ効果、認知障害改善効果はあるのか?(5−HT1A刺激作用)
4)Ris, Per は陰性症状に効果あるか?

今までの印象

1)陽性症状にRisは良い。Perは効果弱い。
2)過鎮静はRisに多い。陰性症状の増悪とは言えない。
3)Perは抗うつ剤として効果。また、人格障害、特に境界性人格障害に効果。認知機能の障害も改善。
4)Ris,Per共に陰性症状に対する効果は無いようだ。
5)デイケア参加により持続性・安定性尺度に改善認め、特にスポーツプログラムが労働・課題の遂行尺度に改善認めた。

(臨床精神医学31(11):1397−1403,2002)