2022年4月26日

名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会に参加しました。

令和4年4月23日(土)名古屋ルーセントタワーにて「名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会」が開催されました。

【一般講演】 愛知医科大学 精神科学講座 藤田貢平先生 『アセナピンの使用経験と展望』

アセナピンは統合失調症の治療に使われるお薬です。これまでのお薬に比べ、副作用である錐体外路症状※や血糖値の上昇を防ぐことが期待できるそうです。

そのため、抗精神病薬の服用により錐体外路症状の出やすい方、糖尿病の方などにも使っていただきやすいお薬だそうです。

※錐体外路症状とは、ジストニア(首や体がつっぱって曲がってしまう)、ジスキネジア(口をもぐもぐさせる、舌が出てしまうなど自分の意思で止めることができない動き)、アカシジア(じっとしていられない)、パーキンソニズム(手足がふるえる、小刻み歩行)などの症状のこと。

また、アセナピンは舌下錠であるため、内服する際、

①舌の下に薬を置き、飲み込まない
②服用後、10分間は水分摂取を控える

という注意点があります。

しかし、先ほど触れたように副作用が少なく、過鎮静(お薬が必要以上に効きすぎてしまい、眠気やふらつきが起こってしまうこと)になりづらいというメリットがあります。

これまでどのようなお薬で治療されてきたか、どういった症状に困っているか、どのようなライフスタイルかなど診察でお話していただき、主治医と一緒にご自身に合ったお薬を選んでいただければと思います。

【特別講演】 関西医科大学 精神神経科学教室 教授 木下利彦先生『Art Brut(アール・ブリュット)の世界』

Art Brutとは、生の芸術と言われています。精神病患者に限っているわけではありませんが、精神病患者の作品が中心となっています。病気を抱えながら、極度の苦しみの中で作品を作り出すため、「芸術と狂気」とも表現されるそうです。

このようなArt Brutから見る統合失調症患者の絵の特徴として、

①目に対してのこだわり
②真正面から人物の顔をとらえる
③線で書く

の3つが挙げられます。

この他にも、シンメトリーが多い、意味があるないに関わらず文字が入るなどの特徴もあるようです。

Art Brutは、美術教育を受けていない人が内的衝動に駆られて作りあげられた芸術であると定義されています。今回の講演では、アドルフ・ベルフリをはじめ、入院生活が長い統合失調症患者の作品をご紹介いただきました。

目に対してのこだわりが現れている作品は多数あり、その理由の一つとして「目は社会性の原形で、言葉によるコミュニケーションよりも重要であると考えられている」という説もあるそうです。

当院のデイナイトケアでも、ものづくりなどのプログラムを行っています。私たちスタッフも患者さんと一緒にプログラムの中で多くの作品に触れ、学んだことを思い浮かべながらプログラムに取り組んでいきたいと思います。

2022年4月15日

ボルキオキセチン勉強会を行いました。

令和4年4月14日、福智クリニックにてうつ病の治療薬ボルキオキセチンの勉強会を行いました。

うつ状態になるとノルアドレナリンやドパミンの分泌量が低下し、楽しいことを楽しいと感じなくなったり、悲しいことを悲しいと感じなくなったりする"エモーショナルブランティング"というものが出現します。

ボルキオキセチンは"エモーショナルブランティング"に働きかける薬で、個人の意欲や認知機能を向上させる働きがあり、QOL(生活の質)の向上やリカバリーに繋がるお薬となっています。

また個人差はありますが、離脱症状が出づらく、服薬時間に制限がないため、患者さんの意向や生活リズムに合わせて服用できることなどがメリットとしてあげられるそうです。
 
今回取り上げたボルキオキセチン以外にもうつ病の治療薬はありますので、ご自身に適した薬を選択して頂けたらと思います。

何か気になることなどありましたら診察などで医師にご相談下さい。

2022年4月 7日

パリペリドンTRIの勉強会を行いました。

令和4年4月5日(火)、福智クリニック医局にてパリペリドンTRIの勉強会を行いました。

パリペリドンTRIは、パリペリドンLAI(4週間隔筋注製剤)をもとに効き目の長さを12週間に延ばした製剤です。

パリペリドンTRIでは、12週に1度注射することで、その間服薬する必要がなく、薬を飲み忘れるといった心配もありません。統合失調症の治療において、服薬を継続することは再発を防止するためにとても大切になります。

また、パリペリドンTRIはパリペリドンLAIに比べ注射負担や通院負担が軽減し、投与の確実性も向上するため、就労を目指す方に大きなメリットになります。

しかし、内服治療を続けたい方や注射による痛みが気になる方などもいらっしゃると思いますので、それぞれのライフスタイルによって自分に適した服薬方法を選択していくことが重要となります。

もしご興味などありましたら一度診察にてご相談下さい。