「リカバリーをめざすうつ病治療」勉強会に参加しました。

令和3年2月19日、福智クリニック医局にて「リカバリーをめざすうつ病治療」ネットシンポジウムに参加し、医療法人ひまわり・もりおか心のクリニック院長・上田均先生の講演を聞かせていただきました。

うつ病からのリカバリーを目指すには、症候的寛解だけでなく、患者様自身の機能面・満足感の回復を目指した包括的診療(疾病に注目するだけでなく、全般にわたって包括的に診ていくこと)が必要で、具体的には生活習慣への介入、セルフケアが重要となってくるとのことでした。

例えば生活習慣については、不健康な食生活や喫煙、アルコールの乱用、セデンタリーライフスタイル(体を動かすことが少ない生活)がリスクファクターになるそうです。

具体的には、やはり食生活についてはバランスのとれた和食が良く、過度な喫煙や飲酒を避けること、運動をすること(運動はうつ病の方にとって薬と同じくらい効果のあるものとして重視されているそうです)などが挙げられます。

投薬だけでなく、こういった側面についても診療で話をしていくとともに、身体疾患の予防についても配慮することが必要とのことでした。

また、回復のために心がけることとして、前向きな態度(先のことでなく明日のことを考える、ポジティブな記憶を思い出すなど)、生活リズムを整えるより積極的な行動(運動をするなど)も大切だと話されていました。

上田先生のクリニックでは、包括的診療のひとつの手段として、馬と触れ合う「ホースセラピー」を取り入れているそうです。乗馬クラブに行き散歩したり、ポニーの世話をしたり、引き馬をしたり、馬上でバランスをとったりされているとのことでした。

こういった体験をしている患者さんの表情には笑顔が多くみられ、幸せホルモン(良質のドパミン)が病状を安定させていると実感されているそうです。

このように、服薬だけでなく、日々の生活の中で気をつけていくと良いことはいろいろあると思います。しかし、うつ病と一言で言っても、どのような病期にあるか(発病初期の急性期であるが、回復期であるかなど)によって取り入れられる対策は異なってくると思います。

今、どのような状態にあり、日々の生活の中にどのようなことを取り入れていくと良いか、診察でも相談していただければと思います。