名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会に参加しました。

令和4年4月23日(土)名古屋ルーセントタワーにて「名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会」が開催されました。

【一般講演】 愛知医科大学 精神科学講座 藤田貢平先生 『アセナピンの使用経験と展望』

アセナピンは統合失調症の治療に使われるお薬です。これまでのお薬に比べ、副作用である錐体外路症状※や血糖値の上昇を防ぐことが期待できるそうです。

そのため、抗精神病薬の服用により錐体外路症状の出やすい方、糖尿病の方などにも使っていただきやすいお薬だそうです。

※錐体外路症状とは、ジストニア(首や体がつっぱって曲がってしまう)、ジスキネジア(口をもぐもぐさせる、舌が出てしまうなど自分の意思で止めることができない動き)、アカシジア(じっとしていられない)、パーキンソニズム(手足がふるえる、小刻み歩行)などの症状のこと。

また、アセナピンは舌下錠であるため、内服する際、

①舌の下に薬を置き、飲み込まない
②服用後、10分間は水分摂取を控える

という注意点があります。

しかし、先ほど触れたように副作用が少なく、過鎮静(お薬が必要以上に効きすぎてしまい、眠気やふらつきが起こってしまうこと)になりづらいというメリットがあります。

これまでどのようなお薬で治療されてきたか、どういった症状に困っているか、どのようなライフスタイルかなど診察でお話していただき、主治医と一緒にご自身に合ったお薬を選んでいただければと思います。

【特別講演】 関西医科大学 精神神経科学教室 教授 木下利彦先生『Art Brut(アール・ブリュット)の世界』

Art Brutとは、生の芸術と言われています。精神病患者に限っているわけではありませんが、精神病患者の作品が中心となっています。病気を抱えながら、極度の苦しみの中で作品を作り出すため、「芸術と狂気」とも表現されるそうです。

このようなArt Brutから見る統合失調症患者の絵の特徴として、

①目に対してのこだわり
②真正面から人物の顔をとらえる
③線で書く

の3つが挙げられます。

この他にも、シンメトリーが多い、意味があるないに関わらず文字が入るなどの特徴もあるようです。

Art Brutは、美術教育を受けていない人が内的衝動に駆られて作りあげられた芸術であると定義されています。今回の講演では、アドルフ・ベルフリをはじめ、入院生活が長い統合失調症患者の作品をご紹介いただきました。

目に対してのこだわりが現れている作品は多数あり、その理由の一つとして「目は社会性の原形で、言葉によるコミュニケーションよりも重要であると考えられている」という説もあるそうです。

当院のデイナイトケアでも、ものづくりなどのプログラムを行っています。私たちスタッフも患者さんと一緒にプログラムの中で多くの作品に触れ、学んだことを思い浮かべながらプログラムに取り組んでいきたいと思います。