2021年4月28日

ADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬グアンファシンの勉強会が行われました。

令和3年4月22日、福智クリニック医局にてADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬グアンファシンの勉強会が行われました。

ADHDの発症は脳の領域の形態変化や体積の減少、脳内ネットワークの活動と持続性の低下、神経伝達物質であるノルアドレナリン・ドパミンの伝達異常などの要因があるといわれています。

ノルアドレナリンは学習や感情、自律神経、作業記憶に、ドパミンは快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化に関与していると言われています。

グアンファシンは上記に関連する前頭前皮質の機能を適切に調節することで、作業記憶の向上や不注意性・多動性を抑制するお薬となっています。

服薬時間は適宜設定でき、午前午後どちらの時間で服用しても同等の効果がみられるそうです。

しかし、投与初期には眠気を訴える人が多かったとの報告もされており、自身の活動時間に合わせて適切なタイミングで薬を服用することが大事とのことでした。

また、今回取り上げたグアンファシン以外にもADHD症状にアプローチするお薬は何種類かありますので、少しでも気になる点や興味などありましたら診察などで気軽にご相談下さい。

2021年4月27日

第42回名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会を開催しました

令和3年4月24日(土)、第42回名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会をオンラインで開催しました。

座長:愛知医科大学医学部 精神神経科 教授 兼本 浩祐 先生

①「当院における医療・福祉制度の活用について」

第42回名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会愛知医科大学病院 医療相談部 技師長 村居巌先生

科に関係なく使える制度や、入院時に使える制度、精神科に特化した制度など様々な
制度について講演して頂きました。自治体によって異なる部分もあり、とても勉強になりました。

自立支援制度や、精神障害者保健福祉手帳、障害年金などについてご不明な点がありましたら、福智クリニック受付までご相談下さい

②「多機能垂直型診療所における訪問看護の役割」

医療法人福智会 訪問看護ステーションHOPE 看護師 永田有紗
多機能垂直型診療所とは、当法人のように医療・福祉など様々な機能を持つ診療所のことを指します。

メリットとしては、いろいろな施設を持っていることにより、患者さんの希望があればすぐに紹介することが出来ること、患者さんに対しいろいろな側面から関わることが出来ることなどが挙げられます。

しかしその反面、関わるスタッフが多くなるため、連携をとりづらくなってしまう可能性もあります。今回は、訪問看護の視点から、連携がうまくいかなかった事例の紹介がありました。訪問看護に興味のある方は、診察にてご相談下さい。

座長:医療法人福智会 すずかけクリニック 院長 福智寿彦

「LAIを使わないのはナゼ?~LAI導入が進まない理由を考える~」

第42回名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会愛知医科大学医学部 精神科学講座 准教授 森康浩先生

薬の種類によって異なりますが、LAI(持効性注射薬)は主に統合失調症や双極性障害の方に使用されます。薬をきちんと服用することが再発予防にとっては非常に重要です。

その点、LAIは薬の飲み忘れを防ぐことが出来るというメリットがあるのですが、諸外国に比べ日本でのLAI導入率はかなり低いそうです。

その理由の1つとして、患者さんが医師からLAIについて十分に説明を受けていないことが明らかとなっているそうです。

森先生は、行動経済学の観点から、人間は自然に現状維持バイアス(惰性)が発動され、変えた方が良いのに変えないでおこうとする癖が出てしまうため、LAIという新たな治療へ踏み出しにくい可能性があると分析されていました。バイアスを振り払うためには、意識的に別の選択をする必要があるそうです。

そのため、医療者が患者さんへLAIについてきちんと紹介するよう心がけること、LAIを使用されている患者さんと交流する機会を作ることにより、LAIがより普及していくのではないかと話されていました。LAIについて興味のある方は、診察にてご相談下さい。


2021年4月 7日

パリペリドンLAIの特徴や使用方法について勉強会が行われました

令和3年4月1日福智クリニック医局にて、パリペリドンLAIの特徴や使用方法について勉強会が行われました。

環境や時代、ニーズに合わせて薬の形は変化してきました。LAIとは持続性注射剤のことを言い、1回の注射で内服薬と同等の効果が2週間~1ヶ月の効果がみられるお薬になります。

服薬アドヒアランス(適切なタイミングに適切な量の服薬を続けること)を保つのに適しており、飲み忘れなどを防止できるため、病状悪化を防ぐことができ、病状が安定するため、社会復帰がしやすくなります。

治療開始後の就労状況を調べた調査では、休職中の患者数が減り、作業所など就労施設の利用が増えたとの報告があります。

LAI(持続性注射剤)を使用するにあたって、個々の状態に合わせて、より自分に適した薬や剤形を選択し、明確な目標設定をすることが大切であると改めて確認することができました。

もしLAI治療に少しでも興味や関心などございましたら、医師やスタッフに気軽にご相談下さい。