2022年10月27日

ベンラファキシンの勉強会を開催しました

令和4年10月20日、福智クリニック医局にてベンラファキシンの勉強会を開催しました。

ベンラファキシンはセロトニン・ノルアドレナリンなどといった神経伝達物質の再取り込みを阻害する抗うつ薬として知られています。セロトニンとノルアドレナリンが減少するとうつ症状が出現しやすくなります。

ベンラファキシンは不安症状やイライラ、気分の落ち込みなどといったうつ症状に効果があり、日本で発売されてから約7年経ちます。カプセル型のお薬で低容量から服用することができ、年齢や病状に合わせて調節することができます。

抗うつ薬は他にも多数ありますが、自分に適したお薬を選択し服用を続けることが大切です。うつ症状を改善させると、QOL(生活の質)や日中の活動性の向上にも繋がります。お薬の副作用が心配、効き目を感じにくいなど、お薬のことで何か心配なことなどありましたら、まずは診察にてご相談ください。

2022年10月25日

2022年10月22日

2022年10月19日

医療安全対策講習会に参加しました

令和4年10月8日(土)、医療安全対策講習会に参加しました。

演題:「医療事故から学ぶ組織のリスクマネジメント」

講師:医療コンフリクトマネージャー 永井 弥生先生

永井先生の講演では、医療事故を予防するために組織として日常的にどのようなマネジメントを行っていく必要があるかについてお話して頂きました。

医療事故を防ぐには三つのリスクマネジメントを考慮する必要があり、

  • エラー(ヒューマンエラーを生じさせないシステム作り、基本に沿った手順を踏み確認を怠らないこと)
  • クオリティ(日常診療の質の向上、医療スタッフの教育や労務管理)
  • コンフリクト(医療事故後の対応を含む苦情やクレーム対応、情報共有など)

の三点を意識することが重要だそうです。また、安全文化の意識が高い医療機関は、エラーでなくても予想外の出来事が起きたら報告する頻度が高いというデータも報告されています。

しかし、医療においてリスクをゼロにすることは難しく、エラーが起きた後の対応や体制づくりを都度検討していく必要があります。また不満や違和感などは一つの出来事や言葉に対するそれぞれの解釈のずれから生じることが考えられます。

よって傾聴し共感すると共に事実を書き出し、問題解決に向け客観的に分析することで、信頼関係の構築ができるようになるとのことでした。

今回の講習会で学んだことを再確認し、当院でも患者さんと対話していくことはもちろんのことリスクマネジメントを意識することで医療安全に対する対応力を上げていきたいと思います。

2022年10月13日

ボルキオキセチン勉強会に参加しました

令和4年10月13日、福智クリニック医局にてうつ病治療薬「ボルチオキセチン」の勉強会を行いました。

ボルチオキセチンは「セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節剤(S-RIM)」と呼ばれる抗うつ薬の1つであり、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンなど複数の神経伝達物質に関与すると考えられています。

このお薬は、1日1回決まった時間に内服すれば良いので、その方のライフスタイルに合わせて、内服のタイミングを主治医と相談し決めていただくことができます。

うつ病の症状には、気分・感情に関連する症状(抑うつ気分、興味や喜びの消失など)、認知機能に関連する症状(思考力や集中力の減退など)、身体症状(不眠や過眠、疲労感など)など多様な症状がみられます。

治療を続けることによって気分が安定し、身体が回復してきても、認知機能に関連する症状がなかなか良くならないという方も中にはいらっしゃいます。

例えば、今まで3分あればメールを打てていたのに、文章を考えるのに1時間近くかかってしまう、料理の手際が悪くなり時間がかかってしまうなどの症状にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

うつ病の治療は、病状の回復だけでなく、機能的リカバリー(QOLの回復)も大切です。何か気になる症状などございましたら、どんなことでも構いませんので診察にてご相談ください。

2022年10月11日

第22回成人のためのてんかん診療フォーラムに参加しました

令和4年10月8日、オンラインにて、成人のためのてんかん診療フォーラムに参加しました。

「てんかんの精神症状に対する治療戦略」愛知医科大学 精神科学講座 准教授 櫻井 高太郎 先生

外来に受診されるてんかん患者さんを調査すると、約3割に、てんかん精神病、気分障害、神経症(PNESを含む)などの精神症状があることがわかっているそうです。

また、精神発達遅滞、自閉スペクトラム症を伴う方もいらっしゃいます。患者さんの不安や抑うつ症状を取り除くには、まずはてんかんの適切な診断と治療をしていくことが重要です。

また、PNES(心因性非てんかん発作)は、診断プロセスそのものが治療の第一歩ですが、医師でもPNESとてんかん発作の鑑別は難しいそうです。

PNESは一定期間観察し、診断を確定し、不要な抗てんかん薬は減薬中止していく必要があり、転換性障害としてきちんと対処することが求められます。

「高齢者てんかんと認知症の鑑別―相互関連性を含めて―」上善神経医院 院長 伊藤 ますみ 先生

てんかんが認知症と誤診されやすい理由は、意識消失している記憶がないため、自覚的な物忘れと思ってしまうことが多く、物忘れ外来にかかってしまうことが多いためであるようです。記憶障害を呈する発作として、側頭葉てんかんの特殊型で、初老期以降に発症する等の特徴があります。

発作間欠期にも特異な認知機能低下が持続するため、より認知症と誤診されやすくなります。しかし、これらは抗てんかん薬で改善するものです。

認知症に極めて類似するものとして「持続性てんかん性記憶障害」があります。記銘力の低下、自発性低下、易怒性、うつなどの精神症状を伴うことやADLの低下が顕著に表れます。てんかん発作が欠如したり、遅れて発症したりすることもあるため注意が必要ですが、こちらも抗てんかん薬にて症状が改善します。

また、50歳以上のてんかん患者はてんかんのない患者よりも認知症の発症率が高いとされています。伊藤先生の病院でも比較調査をされており、高齢発症てんかんに記憶障害の合併が多いという結果が確認されました。

抗てんかん薬で認知機能の低下を抑制する事ができないかを検討する研究がなされましたが、現段階では思うような結果は得られておらず、今後も引き続き研究が必要であるそうです。

以上のようなお話をうかがい、てんかん患者さんの発作状況の観察だけでなく、精神面・認知面にもしっかり目を向けてかかわらせていただくことが重要であるとあらためて学ぶことができました。


2022年10月 5日