2022年12月26日

2022年12月13日

2022年11月24日

2022年11月 8日

2022年10月27日

ベンラファキシンの勉強会を開催しました

令和4年10月20日、福智クリニック医局にてベンラファキシンの勉強会を開催しました。

ベンラファキシンはセロトニン・ノルアドレナリンなどといった神経伝達物質の再取り込みを阻害する抗うつ薬として知られています。セロトニンとノルアドレナリンが減少するとうつ症状が出現しやすくなります。

ベンラファキシンは不安症状やイライラ、気分の落ち込みなどといったうつ症状に効果があり、日本で発売されてから約7年経ちます。カプセル型のお薬で低容量から服用することができ、年齢や病状に合わせて調節することができます。

抗うつ薬は他にも多数ありますが、自分に適したお薬を選択し服用を続けることが大切です。うつ症状を改善させると、QOL(生活の質)や日中の活動性の向上にも繋がります。お薬の副作用が心配、効き目を感じにくいなど、お薬のことで何か心配なことなどありましたら、まずは診察にてご相談ください。

2022年10月25日

2022年10月22日

2022年10月19日

医療安全対策講習会に参加しました

令和4年10月8日(土)、医療安全対策講習会に参加しました。

演題:「医療事故から学ぶ組織のリスクマネジメント」

講師:医療コンフリクトマネージャー 永井 弥生先生

永井先生の講演では、医療事故を予防するために組織として日常的にどのようなマネジメントを行っていく必要があるかについてお話して頂きました。

医療事故を防ぐには三つのリスクマネジメントを考慮する必要があり、

  • エラー(ヒューマンエラーを生じさせないシステム作り、基本に沿った手順を踏み確認を怠らないこと)
  • クオリティ(日常診療の質の向上、医療スタッフの教育や労務管理)
  • コンフリクト(医療事故後の対応を含む苦情やクレーム対応、情報共有など)

の三点を意識することが重要だそうです。また、安全文化の意識が高い医療機関は、エラーでなくても予想外の出来事が起きたら報告する頻度が高いというデータも報告されています。

しかし、医療においてリスクをゼロにすることは難しく、エラーが起きた後の対応や体制づくりを都度検討していく必要があります。また不満や違和感などは一つの出来事や言葉に対するそれぞれの解釈のずれから生じることが考えられます。

よって傾聴し共感すると共に事実を書き出し、問題解決に向け客観的に分析することで、信頼関係の構築ができるようになるとのことでした。

今回の講習会で学んだことを再確認し、当院でも患者さんと対話していくことはもちろんのことリスクマネジメントを意識することで医療安全に対する対応力を上げていきたいと思います。

2022年10月13日

ボルキオキセチン勉強会に参加しました

令和4年10月13日、福智クリニック医局にてうつ病治療薬「ボルチオキセチン」の勉強会を行いました。

ボルチオキセチンは「セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節剤(S-RIM)」と呼ばれる抗うつ薬の1つであり、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンなど複数の神経伝達物質に関与すると考えられています。

このお薬は、1日1回決まった時間に内服すれば良いので、その方のライフスタイルに合わせて、内服のタイミングを主治医と相談し決めていただくことができます。

うつ病の症状には、気分・感情に関連する症状(抑うつ気分、興味や喜びの消失など)、認知機能に関連する症状(思考力や集中力の減退など)、身体症状(不眠や過眠、疲労感など)など多様な症状がみられます。

治療を続けることによって気分が安定し、身体が回復してきても、認知機能に関連する症状がなかなか良くならないという方も中にはいらっしゃいます。

例えば、今まで3分あればメールを打てていたのに、文章を考えるのに1時間近くかかってしまう、料理の手際が悪くなり時間がかかってしまうなどの症状にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

うつ病の治療は、病状の回復だけでなく、機能的リカバリー(QOLの回復)も大切です。何か気になる症状などございましたら、どんなことでも構いませんので診察にてご相談ください。

2022年10月11日

第22回成人のためのてんかん診療フォーラムに参加しました

令和4年10月8日、オンラインにて、成人のためのてんかん診療フォーラムに参加しました。

「てんかんの精神症状に対する治療戦略」愛知医科大学 精神科学講座 准教授 櫻井 高太郎 先生

外来に受診されるてんかん患者さんを調査すると、約3割に、てんかん精神病、気分障害、神経症(PNESを含む)などの精神症状があることがわかっているそうです。

また、精神発達遅滞、自閉スペクトラム症を伴う方もいらっしゃいます。患者さんの不安や抑うつ症状を取り除くには、まずはてんかんの適切な診断と治療をしていくことが重要です。

また、PNES(心因性非てんかん発作)は、診断プロセスそのものが治療の第一歩ですが、医師でもPNESとてんかん発作の鑑別は難しいそうです。

PNESは一定期間観察し、診断を確定し、不要な抗てんかん薬は減薬中止していく必要があり、転換性障害としてきちんと対処することが求められます。

「高齢者てんかんと認知症の鑑別―相互関連性を含めて―」上善神経医院 院長 伊藤 ますみ 先生

てんかんが認知症と誤診されやすい理由は、意識消失している記憶がないため、自覚的な物忘れと思ってしまうことが多く、物忘れ外来にかかってしまうことが多いためであるようです。記憶障害を呈する発作として、側頭葉てんかんの特殊型で、初老期以降に発症する等の特徴があります。

発作間欠期にも特異な認知機能低下が持続するため、より認知症と誤診されやすくなります。しかし、これらは抗てんかん薬で改善するものです。

認知症に極めて類似するものとして「持続性てんかん性記憶障害」があります。記銘力の低下、自発性低下、易怒性、うつなどの精神症状を伴うことやADLの低下が顕著に表れます。てんかん発作が欠如したり、遅れて発症したりすることもあるため注意が必要ですが、こちらも抗てんかん薬にて症状が改善します。

また、50歳以上のてんかん患者はてんかんのない患者よりも認知症の発症率が高いとされています。伊藤先生の病院でも比較調査をされており、高齢発症てんかんに記憶障害の合併が多いという結果が確認されました。

抗てんかん薬で認知機能の低下を抑制する事ができないかを検討する研究がなされましたが、現段階では思うような結果は得られておらず、今後も引き続き研究が必要であるそうです。

以上のようなお話をうかがい、てんかん患者さんの発作状況の観察だけでなく、精神面・認知面にもしっかり目を向けてかかわらせていただくことが重要であるとあらためて学ぶことができました。


2022年10月 5日

2022年9月29日

不眠症治療薬スボレキサントの勉強会を開催しました。

令和4年9月26日、福智クリニック医局にて不眠症治療薬スボレキサントの勉強会を行いました。勉強会では、下記のオンライン講演を聞かせていただきました。

奈良県立医科大学 精神医学講座 准教授 牧之段 学 先生

「発達障害の不眠症~オレキシンの役割を再考する~」

自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)は不眠症を合併することが多く、その合併率は、自閉症スペクトラム障害(ASD)では50~80%、注意欠陥多動性障害(ADHD)では、25~50%だそうです。

不眠症とは「寝つきが悪い(入眠困難)」、「夜中によく目が覚める(中途覚醒)」、「朝早く目が覚める(早朝覚醒)」などの症状が続き、日中の眠気、注意力の低下、不安やイライラなどといった様々な体調不良が起こる状態を指します。

不眠症治療薬スボレキサントは、覚醒状態の維持に関わるオレキシン受容体へ作用することで寝つきをよくし、眠りを維持する働きがあるそうです。
 
また不眠症の治療においては、お薬も大切ですが、不眠の原因となる生活習慣を改善することも重要だと話されていました。

生活習慣の改善

以下の一日の流れを参考にして、生活習慣を見直してみましょう。

  • 同じ時刻に起床し、朝の光を浴びる。
  • 昼寝をするなら午後3時頃までに20~30分程度にする。
  • 夕食前後に軽い運動をする。
  • 寝室は寝る目的のみに使用する。
  • 睡眠中は騒音、光、極端な温度変化を避ける。

これらの工夫をしてみても、うまく睡眠がとれないなどお困りのことがございましたら、診察にてご相談ください。

2022年8月30日

2022年8月27日

2022年8月13日

2022年8月 9日

2022年8月 3日

てんかん診療連携ウェブセミナーに参加しました

令和4年8月2日、てんかん診療連携ウェブセミナーに参加し、下記の2つの講演を聞かせていただきました。

総合座長:名古屋大学大学院医学系研究科 障害児(者)医療学寄附講座 教授 夏目 淳先生

【講演1】名古屋大学医学部附属病院 小児科  助教 山本 啓之 先生「小児科からみたトランジションの現状と課題」

トランジション(移行)とは、小児を中心とした医療から成人を対象とする医療に切り替えていくプロセスのことです。てんかん治療では適切なタイミングでトランジション(移行)することが重要ですが、小児科医が成人になった患者さんをそのまま診ていることが多いという現状があるそうです。

なぜこのような現状になっているかという背景には、精神的、心理的、内科的合併症を診ることの難しさや、近くに成人てんかんの専門医がいないことが挙げられるそうです。

てんかん治療において、症状やサポートの必要度は患者さんによって大きく異なります。個々の状況に応じた形でのトランジション(移行)が必要であり、小児科医と成人てんかん専門医の連携が重要であるとのことでした。

そして、患者さんが未成年である小児科では、保護者の意向が治療の中心となることが多くみられますが、患者さんが成人になるにつれ、患者さん自身が自分の病気を理解すること、そして患者さん自身が中心となって治療していくことが重要であるとお話しされていました。

【講演2】 医療法人福智会 すずかけクリニック  院長 福智 寿彦「トランジションの受け皿としての役割~発達、リハビリ、就労を踏まえて~」

講演2は当法人理事長による講演でした。てんかん治療のトランジションのポイントとして、

  • 移行時期は高校生になったタイミングが良いこと
  • 成人期になると副作用の問題などからリスクがあっても変薬しなければならないケースがあること
  • 移行期に、治療の主体を保護者から本人に移行することが大切であること

が挙げられていました。

そして、患者さんの人生全体を考えて就労支援をすること、てんかん発作のコントロールだけではなく、患者さんが自分らしく生きることや社会の中で役割を持つことが大切であるとのお話がありました。

また、てんかん治療におけるリカバリーの4つのステップについて解説がありました。そのステップとは

  • 希望:目標を見つける
  • エンパワメント:自分の強みに注目する
  • 自己責任:自分の目標・行動・選択に責任を持てるようにする
  • 自分の役割:社会の中で役割を見出し、自信を強化する

の4つです。

このリカバリーの概念は、てんかん治療だけでなく、福智会で関わらせていただく様々な患者さんの治療に共通する概念です。今後も、この概念を常に念頭に起きながら、福智会職員一同、みなさんのリカバリーをサポートしていきたいと思います。


2022年8月 2日

福智会職員研修を開催しました

令和4年7月30日すずかけクリニックにて、令和4年度福智会職員研修を開催され、福智寿彦理事長より、福智会の沿革や理念についてのお話がありました。

コロナ禍になる前は、年に一度開催されていた研修会ですが、ここ数年は新人職員のみに人数を絞っての開催となっていました。

今回は久しぶりに全職員が集まることができ、福智会で一丸となって患者さんの治療、リカバリーを目指していきたいと思いました。

  • 福智会職員研修
  • 福智会職員研修

2022年7月29日

統合失調症治療薬「アセナピンマレイン酸塩」の勉強会を行いました。

令和4年7月26日(火)福智クリニックにて統合失調症治療薬「アセナピンマレイン酸塩」の勉強会を行いました。

アセナピンマレイン酸塩は統合失調症の治療薬で舌の下に薬を置くと口腔内の唾液によって速やかに溶け、有効成分が体の中に届けられる舌下錠という剤形のお薬となっています。

薬を舌の下に2分置くことで約8割、5分で約9割の効果が発揮されるそうです。体重増加のリスクも少なく、糖尿病があっても内服できるそうです。

しかし適切な効果を得るためには薬を服用後、水分を含め飲食を10分間控えて頂く必要があります。また、飲み込まずに口腔内に留めておく必要があるため口腔内に違和感を感じたり、服用方法を負担に感じる方も少なからずいらっしゃるそうです。

統合失調症の治療薬は今回取り上げた舌下錠以外にも持続性注射剤や経皮吸収型製剤、経口薬など様々な薬の剤形や種類があるため、医師や薬剤師と相談し、自身のライフスタイルや病状に合わせて、お薬を選択し服薬を継続していくことが大切になります。

薬のことで気になることなどありましたら、診察で気軽にご相談下さい。

2022年7月26日

2022年7月16日

2022年7月13日

ADHD治療薬 グアンファシンの勉強会を開催しました。

令和4年7月12日、福智クリニック医局にてADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬グアンファシンの勉強会を開催しました。

ADHDとは、注意を持続させることが困難である、物事を順序立てて行動できない、落ち着きがない、待てないなどの症状が生まれつき持続している状態のことを指し、人間関係や仕事など日常生活に様々な影響を与える可能性があります。

不注意や衝動性による生活上のつまずきは自尊心などの低下に繋がり、適応障害や不安障害、うつなどの症状を併発される方も多いと言われています。

症状は、多動性、衝動性、不注意性のいずれかが高かったり、症状が混合していたりなど人によって様々ですが、ADHDの方の約62%は、症状が混合しているそうです。

ADHDの症状は前頭皮質における神経伝達物質の調節異常が関連していると考えられており、グアンファシンは神経伝達物質を適切に調節することで思考、行動、感情などをコントロールし、副交感神経を優位にして症状を抑えるお薬となっています。

服薬時間や食事のタイミングなどによる制約はありませんが、眠気などの副作用が生じることがあるため、自身の生活スタイルに合わせて薬を飲むタイミングを主治医と相談して決めていただきます。

どのようなお薬でも(特に飲み始めてしばらくは)多少なりとも副作用が表れる可能性はあります。しかし、服用を続けていただくことで、少しずつ副作用が落ち着き、薬本来の効果が出てくる場合もあります。

また。今回取り上げたグアンファシン以外にもADHDの治療薬はございますので、何かご心配なことがございましたら診察で気軽にご相談下さい。

2022年6月29日

バルベナジントシル酸塩カプセル勉強会を行いました。

令和4年6月28日(火)福智クリニックにて遅発性ジスキネジア治療剤「バルベナジントシル酸塩カプセル」の勉強会を行いました。

遅発性ジスキネジアとは、自分ではなかなか止められない、止めようとしてもすぐに動いてしまうなど、自分の意思とは無関係に起きる運動をもたらす神経の障害であり、抗精神病薬などのお薬を使用することで発症することがあると言われています。

代表的な症状として、無意識に口をすぼめる、舌を動かす、口をもぐもぐさせるなどが挙げられます。また口や顔以外に、手が勝手に動いてしまう、足が動いてしまって歩きにくいなど、手足や体にも症状がみられることがあります。

人により発症する部位や程度は異なりますが、食事、会話、呼吸など様々な日常活動に影響を及ぼします。勉強会ではよくみられる症状をビデオでいくつか見させて頂きました。遅発性ジスキネジアの発症のメカニズムはまだ解明されていませんが、ドパミンに対する感受性が増大され、運動に関する情報が過剰に伝達されてしまい、自分の意思とは無関係な運動を引き起こしていると考えられています。

バルベナジントシル酸塩カプセルは過剰な情報伝達を抑制して、遅発性ジスキネジアを改善するお薬となっています。

日本では令和4年より発売となった新薬となります。

服用の際は条件などありますが、原疾患の治療を続けながら併行して遅発性ジスキネジアの治療が出来るそうです。まずは診察の際に医師や薬剤師などにご相談下さい。

2022年6月27日

福智会納涼会2022のお知らせ

福智会納涼会2022のお知らせです。

福智会納涼会2022のお知らせ日時:7月10日(日)
会場:吹上展望ホール

盆踊りや寸劇など様々な企画を用意しております。

お時間のある方はぜひご参加下さい。

プログラム詳細は写真にてご確認お願いします。

プログラム表は福智外来でも配布しておりますので

ご自由にお取り下さい。また、分からないことなどありましたら

気軽にお声がけ下さい。皆様の参加をお待ちしています。

2022年6月21日

片頭痛治療剤 ラスミジタンコハク酸塩の勉強会に参加しました。

令和4年6月15日福智クリニック医局にて、新しい片頭痛治療剤であるラスミジタンコハク酸塩の勉強会を行いました。

日本で片頭痛に悩まれている方は人口の約8.4%、900万人いると言われているそうです。しかし、実際に受診して治療を受けている方は、その内の40~50万人程度にしか過ぎないようです。

これまで、片頭痛が起きた時に飲むお薬としてはトリプタン製剤が主に使われてきました。通常の内服薬や点鼻薬、注射剤などいろいろな剤形があり、自分に合うお薬を選択しやすいのですが、痛みが強くなってからでは効果が出にくいこともあり、服薬のタイミングの難しさが課題と言われていました。

今回、発売されたラスミジタンコハク酸塩は、初めてのジタン系製剤で、セロトニン1F受容体に選択的に作用し、血管を収縮させずに頭痛を消失、改善することができるお薬だそうです。症状によって50mg~200mg/日まで使うことができます。しかし、お薬に慣れるまでには眠気やめまいなどの症状が出る方もいらっしゃるようです。

このように、片頭痛治療の選択肢が増えたことはとても良いことだと思います。そもそもその頭痛が片頭痛であるのかをきちんと相談された上で、治療をしていくことが大切です。頭痛でお困りの方がいらっしゃいましたら、診察にてご相談下さい。

2022年6月13日

ベンラファキシン勉強会を開催しました。

令和4年6月7日、福智クリニック医局にてベンラファキシンの勉強会を開催しました。

うつ病はセロトニンとノルアドレナリンが関与しており、セロトニンは抑うつ気分、無価値観などの不安症状に、ノルアドレナリンは集中力や活力の低下など意欲の低下に影響すると言われています。

ベンラファキシンは抗うつ薬の1つで、中枢神経や末梢神経に存在するオピオイド受容体に働きかけ、うつ症状などにアプローチするそうです。

またセロトニンを運ぶ役割をする物質である"セロトニントランスポーター"の占有率が高く、用量は37.5㎎から最大225㎎まで調整可能です。

低用量から服用することができ、不安障害やうつなどといった症状ごとに用量を調整することができます。

また、今回取り上げたベンラファキシン以外にも抗うつ薬はありますので、飲み合わせ・効果の感じ方・副作用などをふまえ、ご自身に適したお薬を選択して頂けたらと思います。

お薬のことで気になることがありましたら、診察で医師にご相談下さい。

2022年4月26日

名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会に参加しました。

令和4年4月23日(土)名古屋ルーセントタワーにて「名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会」が開催されました。

【一般講演】 愛知医科大学 精神科学講座 藤田貢平先生 『アセナピンの使用経験と展望』

アセナピンは統合失調症の治療に使われるお薬です。これまでのお薬に比べ、副作用である錐体外路症状※や血糖値の上昇を防ぐことが期待できるそうです。

そのため、抗精神病薬の服用により錐体外路症状の出やすい方、糖尿病の方などにも使っていただきやすいお薬だそうです。

※錐体外路症状とは、ジストニア(首や体がつっぱって曲がってしまう)、ジスキネジア(口をもぐもぐさせる、舌が出てしまうなど自分の意思で止めることができない動き)、アカシジア(じっとしていられない)、パーキンソニズム(手足がふるえる、小刻み歩行)などの症状のこと。

また、アセナピンは舌下錠であるため、内服する際、

①舌の下に薬を置き、飲み込まない
②服用後、10分間は水分摂取を控える

という注意点があります。

しかし、先ほど触れたように副作用が少なく、過鎮静(お薬が必要以上に効きすぎてしまい、眠気やふらつきが起こってしまうこと)になりづらいというメリットがあります。

これまでどのようなお薬で治療されてきたか、どういった症状に困っているか、どのようなライフスタイルかなど診察でお話していただき、主治医と一緒にご自身に合ったお薬を選んでいただければと思います。

【特別講演】 関西医科大学 精神神経科学教室 教授 木下利彦先生『Art Brut(アール・ブリュット)の世界』

Art Brutとは、生の芸術と言われています。精神病患者に限っているわけではありませんが、精神病患者の作品が中心となっています。病気を抱えながら、極度の苦しみの中で作品を作り出すため、「芸術と狂気」とも表現されるそうです。

このようなArt Brutから見る統合失調症患者の絵の特徴として、

①目に対してのこだわり
②真正面から人物の顔をとらえる
③線で書く

の3つが挙げられます。

この他にも、シンメトリーが多い、意味があるないに関わらず文字が入るなどの特徴もあるようです。

Art Brutは、美術教育を受けていない人が内的衝動に駆られて作りあげられた芸術であると定義されています。今回の講演では、アドルフ・ベルフリをはじめ、入院生活が長い統合失調症患者の作品をご紹介いただきました。

目に対してのこだわりが現れている作品は多数あり、その理由の一つとして「目は社会性の原形で、言葉によるコミュニケーションよりも重要であると考えられている」という説もあるそうです。

当院のデイナイトケアでも、ものづくりなどのプログラムを行っています。私たちスタッフも患者さんと一緒にプログラムの中で多くの作品に触れ、学んだことを思い浮かべながらプログラムに取り組んでいきたいと思います。

2022年4月15日

ボルキオキセチン勉強会を行いました。

令和4年4月14日、福智クリニックにてうつ病の治療薬ボルキオキセチンの勉強会を行いました。

うつ状態になるとノルアドレナリンやドパミンの分泌量が低下し、楽しいことを楽しいと感じなくなったり、悲しいことを悲しいと感じなくなったりする"エモーショナルブランティング"というものが出現します。

ボルキオキセチンは"エモーショナルブランティング"に働きかける薬で、個人の意欲や認知機能を向上させる働きがあり、QOL(生活の質)の向上やリカバリーに繋がるお薬となっています。

また個人差はありますが、離脱症状が出づらく、服薬時間に制限がないため、患者さんの意向や生活リズムに合わせて服用できることなどがメリットとしてあげられるそうです。
 
今回取り上げたボルキオキセチン以外にもうつ病の治療薬はありますので、ご自身に適した薬を選択して頂けたらと思います。

何か気になることなどありましたら診察などで医師にご相談下さい。

2022年4月 7日

パリペリドンTRIの勉強会を行いました。

令和4年4月5日(火)、福智クリニック医局にてパリペリドンTRIの勉強会を行いました。

パリペリドンTRIは、パリペリドンLAI(4週間隔筋注製剤)をもとに効き目の長さを12週間に延ばした製剤です。

パリペリドンTRIでは、12週に1度注射することで、その間服薬する必要がなく、薬を飲み忘れるといった心配もありません。統合失調症の治療において、服薬を継続することは再発を防止するためにとても大切になります。

また、パリペリドンTRIはパリペリドンLAIに比べ注射負担や通院負担が軽減し、投与の確実性も向上するため、就労を目指す方に大きなメリットになります。

しかし、内服治療を続けたい方や注射による痛みが気になる方などもいらっしゃると思いますので、それぞれのライフスタイルによって自分に適した服薬方法を選択していくことが重要となります。

もしご興味などありましたら一度診察にてご相談下さい。

2022年3月30日

スボレキサント勉強会を行いました。

令和4年3月14日(月)福智クリニックにてWEB勉強会を行いました。

順天堂大学大学院医学研究科 精神・行動科学 先任准教授 臼井千恵先生による不眠症をテーマとした講演でした。

うつ病と不眠症は密接に関連しており、海外で行われた調査ではうつ病患者の84.7%に不眠症状がみられ、うつ病が寛解しても睡眠障害があると再発率が高くなることが報告されています。

その不眠症状には入眠困難(なかなか寝付けない)・早朝覚醒(朝早く目が覚める)・中途覚醒(夜中によく目が覚める)といったタイプがあります。

不眠症の治療にはまず日常生活を見直し、生活習慣を改善することが重要となります。

就寝前のカフェイン・アルコール・喫煙・激しい運動を控える、寝る前にスマホなど明るい光を見ないなど不眠の原因となる生活習慣を見直すことが最優先です。

また必要な睡眠時間は人によって異なるため、日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠をとること、それでも眠れない場合などは専門家に相談することが大切とのことでした。

今回取り上げられた不眠症治療薬"スボレキサント"は睡眠維持効果に優れたお薬と知られ、日本で発売してから約7年になるそうです。

スボレキサント以外にも不眠症に関する治療薬はいくつかありますので、薬や不眠症状のことなどで何か気になる点などございましたら、診察で気軽に医師にご相談ください。

2022年3月16日

「医療安全対策講習会」に参加しました。

令和4年3月8日(火)、医療スタッフを対象としたWEBによる医療安全対策講習会に参加しました。

  • 演題:「コロナ禍における感染症対策について」
  • 講師:弘前大学特任教授 鹿児島大学名誉教授 秋葉 澄伯先生

秋葉先生の講演では新型コロナウイルスに関する情報や感染対策が主な話題として取り上げられていました。

新型コロナウイルスは、ウイルスを含む飛沫、又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入することによるエアロゾル感染で広がることが分かっています。人は無意識に1時間当たり約23回顔を触っているというデータもあり、ウイルスを含む飛沫が目や鼻、口に直接接触することで感染します。

新型コロナウイルスに感染しても自覚症状がない方もいますが、症状の有無に関わらずウイルス量に差はないそうです。また、部屋の換気については1時間に2回以上を推奨しており、湿度を40%~60%で維持すると良いそうです。

空気が乾燥するとウイルスが存在しやすくなり、私たちの体の免疫システムも低下するため、感染リスクも高くなります。

新型コロナウイルスは生存時間が長く、インフルエンザウイルスが約1.8時間なのに対して、新型コロナウイルスは皮膚上で約9時間も存在するそうです。対策としては、80%濃度のエタノールによる15秒の消毒が有効とのことでした。

また、ワクチンの抗体価について、自然感染した場合よりもワクチンを接種した方が抗体価は高くなるそうですが、下がり方も速いため、接種後半年が経過すると差はほとんどなくなるそうです。

現在、愛知県でもまん延防止等重点措置が実施されており、新型コロナウイルスに感染するリスクは非常に高いものとなっています。

当院は外来だけでなく、精神科デイケアも併設しているため、換気や検温器の設置、待合の座席の距離の確保、定期的な消毒作業などの対策を行っていますが、今回の講習会で学んだことを再確認し、今後も出来る限りの感染対策を徹底していきたいと思います。

2022年3月 2日

便秘薬 ルビプロストンカプセルの勉強会に参加しました。

便秘薬 ルビプロストンカプセルの勉強会に参加しました。令和4年3月1日、福智クリニック医局にて、便秘症の治療薬であるルピプロストンカプセルの勉強会を行いました。

便秘になったことがある方はたくさんいらっしゃると思いますが、今回の勉強会では、①うつ病などの精神疾患や糖尿病などの持病をお持ちの方②60歳以上の方が便秘を起こしやすいというデータが紹介されました。

また、持病の治療薬によって便秘を起こしてしまうこともあります(薬剤性の便秘)。便秘の状態が続くとQOL(生活の質)が下がってしまい、便秘の重症度が気分の落ち込みにも影響するという研究結果があるそうです。

便秘薬には、毎日内服するものや、刺激性の下剤など様々なタイプのものがあります。

刺激性の下剤の場合、頻回に使用し続けていると徐々に体が薬に慣れてしまい(耐性)、薬を使っても効果が出にくくなる場合もあるようです。

それに比べ、ルビプロストンカプセルは小腸の水分量を増やし、自然な排便を促すという特徴があります。

便秘の重症度やライフスタイルなどによって、適している薬は異なります。当院通院中の方で便秘にお困りの方がいらっしゃいましたら、一度診察でご相談いただければと思います。

2022年2月10日